大野ゼミ

大野光明ゼミ(社会系)

(1)関心領域

 「戦後」の日本社会が抱え込んできた問題や矛盾、それらに向き合いながら「別の社会」をつくろうとした人びとの経験を社会学的に考察してきました。具体的には、軍事基地問題をめぐる社会運動の歴史について研究しています。「平和」で「豊か」だといわれる日本社会ですが、差別や暴力、貧困などの問題があり、それらの問題に向きあってきた人びとの生身の経験から、現代社会のありようをとらえかえしたいと思っています。どのように社会構造が再生産されているのか、また、社会を変えていくためには何が必要なのか、私たちの日常生活のなかの規範や文化(文学、映画、音楽、漫画)にも注目しながら考えています。

(2)ゼミの進め方

 ゼミのゆるやかなテーマは「〈人びとの経験・実践〉から読み解く現代日本社会」です。現代日本社会を、教科書やマスメディア報道のような「大きな物語」からではなく、人びとの生きられた具体的な経験や実践、社会問題から分析することを目指します。もちろん、このテーマにこだわらず、独自の問いとテーマをご自身で設定されることを歓迎します。  3回生の1年間は、それぞれの問題関心を刺激する本や論文を読み、社会学とそれに隣接する領域の理論や概念、思考法を学び、それらを具体的な社会現象や作品の分析に使うことを試みます(昨年度はゼミ生の提案で漫画『放浪息子』、映画『カランコエの花』を分析)。また、フィールドワークやインタビュー調査などの機会もつくり、実践的な調査法を身につけていきます(昨年度は京都国立近代美術館「ドレス・コード?」展を見学)。これらの作業を通じ卒業論文のテーマを見つけていきましょう。  調査や研究を進めていけば、大きな壁にぶつかり、立ち止まってしまうこともあるでしょう。そんな時、ゼミの仲間と相互に支えあい、助けあうことは大切なことです。一人でできないことも、仲間とならできる――だからこそ、ゼミという場が必要だと思います。

(3)これまでのゼミ生の卒業論文

<2019年度>

  • 「ジャニーズファンに関する研究―アイドル・メディア・ファンの相互作用―」
  • 「ディズニープリンセスからみる女性像の変遷に関する考察」
  • 「人はなぜ擬人化マンガにひかれるのか」
  • 「セクシュアリティの自己決定についての研究 ~個人の経験と既成概念に着目して~」
  • 「旅行における写真を撮る行為についての考察」
  • 「ビデオゲームにおける没入感に関する考察」
  • 「透明感と現代社会との関連性についての研究」

<2018年度>

  • 「2.5次元ミュージカルのファンの研究??『刀剣乱舞』をめぐる次元の移動に着目して」
  • 「SNS相談に関する研究??相談者のニーズに着目して」

<2017年度>

  • 「現代社会における『かわいい』文化の変遷~『ゆめかわいい』に焦点を当てて~」
  • 「高齢者の望む死の在り方とその背景にあるもの」

(4)面談の申し込み先

お気軽に研究室(D2-206)までお越し下さい。面談を希望される方は、事前にメールを送ってください。 ono.m★shc.usp.ac.jp (★を@に変更してご使用ください)