どんな学科?

キーワードは発達

about_img1.gif  時間とともに変化する人間関係が「発達」です。この専攻では、その変化を、さまざまなスケールからとらえなおすことを学びます。
 人と人が出会って別れるまでのほんの数分の間にも、お互いの態度や行動は刻々と変わっていきます。人の一生という単位で見れば、乳幼児から成長し大人になるにつれて、自分を育ててくれる人との関係は劇的に変化していくはずです。さらに何世代にもわたって伝承される文化は時代に合わせてさまざまな形をとるでしょう。
 そこにかかわる人の数によっても関係は変化します。一対一の人間関係に焦点を当てること、共同体の人間どうしがかかわる社会現象を見渡すこと、その両面を理解しなければ人間関係は把握できません。

3つの視点

 この専攻では、さまざまな時間と空間のスケールから、「発達」に対する3つの視点を用意しています。どの講義や実習も分野を越えて自由に取得することが可能です。

『心理行動発達分野』

わたしたちの感覚を支えている生物学的・心理学的な基盤とそのはたらきについて学ぶ分野です。「心理学基礎」はもちろん、「発達心理学」「認知心理学」「教育心理学」「臨床心理学」「人間行動論」など、心理学を学ぶための多角的なカリキュラムが用意されています。観察実習や映像機器やコンピューターを用いた実験分析など、自ら被験者や実験者や観察者になる実習体験も豊富です。

『関係生成分野』

人間関係の生じる社会的場面に焦点を当てる分野です。日常のさりげない言語使用を考える「コミュニケーション論」から、世代を越えて伝えられる「伝承文化論」まで、あるいは現代の地域社会への視点を学ぶ「地域運動論」から歴史的視点までおさめた「社会思想史」まで、さまざまな時空間スケールの視点を学びます。調査法やデータ解析に関する実習も用意されています。

『教育臨床分野』

教育とは、じつはもっとも複雑な人間関係が現われる現場でもあります。教育の問題と深くかかわる「カウンセリング論」や、いじめや不登校を単なる学校問題ではなく根本的な人間関係の問題としてとらえなおす「人間形成論」など、教育を手がかりに多様な人間関係のあり方をさぐっていくカリキュラムが用意されています。教職課程に必要な単位もすべて取得できます。

もとめて学ぶ力

 人間関係専攻では、卒業論文執筆に向けた学生の自発的な研究姿勢とゼミナール活動を重視しています。3、4回生のゼミでは、自らの発問を大切にし、仲間との協働やディスカッションの意義を学びます。さらに、少人数教育の利点を生かして、担当教員が丁寧な個人指導をおこないます。このような活動を通じて、人間の心や暮らし方、人間関係にかかわる問題には、「答え」が多様にありえることや、独自の観点から新しい発見に迫る楽しさなどを学びます。

就職

 どんな仕事であれ、人間関係のない職場はありません。職場内でのコミュニケーション、顧客とのやりとり、あるいはプレゼンテーションなど、本専攻で学んだ考え方や技術はあらゆる場面に応用が可能です。公務員をはじめ、銀行・飲食業などのさまざまなサービス業、出版社や放送局などのメディア会社への就職など、卒業生の高い就職率と多様な就職先(大阪府警、草津市役所、国民休暇村協会、びわこ放送、びわこ銀行、京都中央信用金庫、三井生命保険、平和堂など)からも、その応用範囲の広さは実証済みです。また教員(高校一種/公民、中学一種/社会)、改良普及員の受験資格を得ることもできます。公立小学校教員や公私立保育園保育士として働いている卒業生もいます。

大学院への進学

 卒業後もさらに深く、専門的に学びたい人のために、本学では、大学院への進学の道が開けています。霊長類研究、生活運動研究、会話分析研究など、人間関係論の分野でユニークな研究を行なっている教員が大学院生の指導にあたっています。