国際コミュニケーション学科で学ぶ外国語の紹介

国際コミュニケーション学科では、英語はもちろん、英語以外の言語もしっかりと学習できるようなカリキュラムを用意しています。日本はまだ英語だけに関心が寄せられがちですが、ヨーロッパ諸国や韓国などでは「母語プラス2言語」の考え方が一般的になってきています。これからは英語ができるのは当たり前で、それに加えて何ができるかということが問われます。
 ここでは、英語をはじめ、国際コミュニケーション学科で学ぶことのできる言語について紹介します。第二外国語の選択など、あなたの学習計画に役立てて下さい。

英語

英語を母語としている人は世界人口の4.7%で、第1位の中国語(13.2%)と比べかなり少ない状況です。しかし公用語人口としては英語が世界一です。 意思の疎通が可能な国や地域を考慮すると、英語は世界でもっとも広く通用する言語と考えられています。EUでは、学校でもっとも学ばれている外国語です。英米の影響などで英語が国際共通語として使われるようになったこと、商業言語として確立したこと、科学技術を伝達する主要な言語となったことなどの理由で、第二言語 (ESL=English as a second language) として用いる人口は約4億人に上ります。外国語 (EFL=English as a foreign language) として英語を学習・使用する人も多いため、世界各国でイギリス方言・アメリカ方言などの英語の枠組みを超えた「新英語」が出現するようになっています。
 実は、英語はずっと以前から、イギリスやアメリカという特定の国を越えて、世界の人々と交流する多国間、多文化間コミュニケーションのことばとなっています。このことを日本人の立場からいうと、英語はアメリカ人やイギリス人とだけではなく、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、ラテンアメリカと、世界のさまざまな地域の人々を相手にすることばなのです。同時に、いろいろな人々が英語を話すため、英語は多様な地域の文化を反映しています。英語を母語とするアメリカ人、イギリス人、カナダ人、オ-ストラリア人などがみなそれぞれ独特の英語を話しているように、英語を母語としないアジアの人、アフリカの人、そしてヨ-ロッパの人、南米の人もいろいろと特徴のある英語を使っています。日本人も自分の英語を臆せず、とにかく使ってみることをお勧めします。それが勉強の原動力にもなるのです。

ドイツ語

ドイツ語は英語やオランダ語と同じ西ゲルマン語に属しますので、英語の学習経験があれば非常に学びやすい言語です。語形変化が多く、暗記しなければならないことが多い反面、発音は比較的に簡単で、論理的な言語であるため、文法さえきちんと押さえておけば、読解の際にはそれほど苦労することはありません。ドイツ語話者数はおよそ1億3000万人で、ドイツを始めとして、オーストリア、スイス、リヒテンシュタインで使用されているほか、ベルギーやルクセンブルクでも公用語の一つとして位置づけられています。ドイツと言えばサッカーやドイツ車、ソーセージ、ビール、音楽であればベートーヴェンやバッハ、哲学であればニーチェやカント、文学であればゲーテやシラーなどを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、魔法瓶やパイプ椅子など私たちの生活で身近なものもドイツ人の発明によるものです。第二次世界大戦や冷戦時代の暗い歴史とも真剣に向き合い、次世代の人たちが自分たちと同様に暮らしやすくなるように環境政策に取り組む姿勢からは多くのことが学べると思います。過去から学び、未来に向けて現在の問題に取り組む。ドイツ語を通じてさまざまな新しい考え方と出会うことができるでしょう。

フランス語

フランス語はフランスを始め、ベルギー、スイス、ルクセンブルクなど、他のヨーロッパの国の一部、カナダのケベック州、カメルーン、コートジボアール、コンゴなど、アフリカの国々でも使われています。フランス語を母語とする人口は9千万人、フランス語を話せる人口は2億人と言われています。しかし、この数字が示す以上に、国連を始めとする各種の国際機関で英語と並んで公用語として重用されており、世界のさまざまな場所で通用する「国際語」です。これは、フランスが歴史上、思想、文化、自然科学、政治、外交の分野で何世紀にもわたってヨーロッパ文明の中心であり、近代以降は、世界的にも重要な役割を果たしてきたからに他なりません。フランス語で書かれた文学作品、哲学書、その他の学術書は膨大な数に上ります。バルザック、スタンダール、プルーストなどの小説家、デカルト、パスカル、ルソーなどの哲学者の名前はよく知られています。日本語にも、「デッサン」、「エチュード」、「アヴァンギャルド」、「モード」、「ソース」、「デジャヴュ」、「クーデター」、「レゾンデートル」などの芸術、ファッション、料理、心理学、政治学、哲学などの分野のことばがたくさん入っています。習熟すれば、豊かな文化にふれ、多種多様の学問を深めることができると共に、全世界に向けて視野が広がることでしょう。
 言語の系統としては、フランス語はロマンス語(ラテン系の言語)の一つで、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語と近い関係にあります。このため、フランス語を学んでいるとこれらの言語の習得が容易になります。また、フランス語の語彙は11世紀以降、英語の中に大量に流入したため、特に抽象概念を表す語彙には共通しているものが数多くあり、フランス語を学ぶと英語の語彙も増えるという「副産物」があります。

中国語

中国には「中国語」という言葉はありません。これから学ぶ中国語は,中国では「汉语[漢語],Hànyǔ」と呼ばれています。中国は56の民族からなる多民族国家ですが,総人口の90%以上を漢民族が占めています。その漢民族の言語を「汉语[漢語]」といいます。
ただ,漢民族と一口にいっても,彼らは住む土地々で異なる言葉(方言)を話しています(例えば,北京であれば北京方言,上海であれば上海方言,広州であれば広東方言)。ですからこれらの方言も「汉语[漢語]」というわけです。しかし皆さんが学ぶ中国語は決して北京方言や上海方言ではありません。中国全土に通ずる共通語「普通话[普通話]」(日本語の「標準語」に相当)を学びます。実は中国の方言差は,日本の比ではありません。例えば,上海方言の話者(広東方言の話者)にとって広東方言(上海方言)はまるで外国語なのです。共通語「普通话[普通話]」を学ぶ必要性はここにあるのです。なお,「漢民族の言語」の対極にあるのが「少数民族の言語」です。彼らはそれぞれの言語を話しています。例えば,チベット族はチベット語,モンゴル族はモンゴル語,朝鮮族は朝鮮語,ウイグル族はウイグル語......を話しています。

朝鮮語(韓国語)

朝鮮語は、大韓民国の人口約4900万人と朝鮮民主主義人民共和国の人口約2400万人のほか、中国、米国、日本をはじめとした世界各地域に合計700万人以上暮らしている在外コリアンも使用している言語です。日本と交流の深い韓国では、朝鮮語ではなく韓国語と呼称しており、大学入試センター試験の科目名も韓国語なので、皆さんには韓国語という呼称のほうがなじみ深いかもしれません。中には朝鮮語と韓国語は別の言語だと考えている人もいるようですが、ただ呼称が違うだけです。南北分断により、言語の呼称をめぐって複雑な問題がありますが、大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国でそれぞれ使われている言語は標準語や正書法が若干異なるだけでほとんど同じです。
本学では、大韓民国の標準語や正書法に準拠して教育を行っています。朝鮮語は、文法構造が日本語と極めて似ていて、語順はほぼ同じ、語彙も日本と同じ漢字熟語が多くあるので、日本語を母語とする人が最も習得しやすい外国語だと言えます。文字はハングルと呼ばれ、子音字母と母音字母を組み合わせて1文字を形成するというとても合理的な仕組みを持っています。例えば、[k]の音を表す子音字母[フ]と、[a]の音を表す母音字母[ト]を組み合わせ、[フト]と書くと[ka]の音を表します。これは同時に、[ka]の音を持つ漢字「加」「可」「家」「価」「歌」などと対応しています。これらの漢字は日本語の音読みも同じ[ka]ですね。日本語に非常に近い言語であるということの一つの例です。
なお、本学には韓国からの留学生も在籍しているので交流の機会もあり、人間文化学部の学生には韓国の大学への交換留学の機会も開かれています。日本と朝鮮半島の隣国との各分野における交流は今後ますます活発になることは間違いないので、朝鮮語を学んでおくことは、大学を出てからもきっと何かの役に立つでしょう。

モンゴル語

モンゴル語は、モンゴル系の諸民族の間で話されている言語です。
日本語と同じように「てにをは」があり、語順も動詞が最後に来るなど日本語に近いので、日本語を母語とする者には非常に学習しやすい言語です。これは、モンゴル語と同じアルタイ諸語に属する満州語やトルコ語、カザフ語などにも共通しているものです。
モンゴル系の民族は、モンゴル国(人口約280万人)を中心に中国内モンゴル自治区(モンゴル人人口約400万人)、青海省の一部や新彊ウイグル自治区の一部にも居住しています。また、ロシアのバイカル湖周辺地域(イルクーツク州、ブリヤート共和国、)やザバイカル地方に住むモンゴル系の民族であるブリヤート人(約40万人)たちの間では、モンゴル語系のブリヤート語が話されています。同じくロシアのカスピ海沿岸部のカルムィク共和国(人口約30万人)においても、モンゴル語系のカルムィク語が話されています。
このように広義の「モンゴル語」を話す人々は、ユーラシア大陸にまたがった広範な地域に分布しています。これはチンギス・ハーンおよびその子孫たちが打ち立てたモンゴル帝国の広大な版図に由来します。
文字に関しては本来、縦書きのモンゴル文字があるのですが、歴史的経緯から、現在のモンゴル国標準語では、ロシア語のキリル文字による表記が採用されています。本学では、このモンゴル国の標準語(ハルハ方言)を中心に学んでいきます。モンゴル文字は中国内モンゴル自治区では、現在も使用されていますが、そちらも学ぶことが可能です。
本学では、2008年よりモンゴル国立大学との交換留学を始めており、モンゴルへの留学が可能となっています。また、毎年3名のモンゴル国立大生が本学に留学してきています。
モンゴル語は、話者人口の少ない言語ですが、だからこそマスターすれば希少価値があるといえます。モンゴル語をいかして外交官になることも可能でしょうし、モンゴルでは石炭、金、レアアースなどが産出されているので、将来性のある言語といえるでしょう。
もちろん、遊牧民になりたい!モンゴル相撲で格闘技留学したい!あるいは「スーホの白い馬」の馬頭琴を習いたい、といった酔狂な方にもおすすめです。
※2021年度入学生より、モンゴル語は第2外国語として選択できなくなりました。

チベット語

チベット語は、約600万人の人口を擁するチベット民族によって用いられている言語です。「チベット」という国は存在しませんが、チベット人は中国のチベット自治区、青海省、甘粛省、四川省、雲南省、またネパールやインドにも居住しています。ネパールの東にある小さな国、ブータンで用いられている言語もチベット語の方言に属します。
チベットの文化、中でもチベット仏教は、このチベット人の居住している地域をはるかに越えて広がっています。特にモンゴル民族の中には、チベット仏教を信仰している人が多く、チベット仏教寺院はモンゴル国や中国の内モンゴル自治区、さらにはロシアのブリヤートやトヴァ、カルムイクといった国にも存在しています。ですから、モンゴルでモンゴル人のお坊さんとチベット語を用いて会話できるということもおきてくるわけです。
本学科では、チベットの文化、またチベット仏教などに興味をもつ方々を対象としてチベット語のクラスを開設します。そこでは主にチベット口語の勉強をしながら、簡単な文章ならば、自分で辞書を用いながら読むことができるようになることを目指します。