生活文化学専攻の人材養成目的と3つの方針

人間文化学研究科生活文化学専攻における人材養成目的および入学者受け入れ方針(アドミッションポリシー)、 教育課程編成・実施方針(カリキュラムポリシー)、 学位授与方針(ティプロマポリシー)について

Ⅰ.人材養成目的

[博士前期課程]
生活科学と人間科学の立場から、人間のライフスタイル全般を通した生活と社会の関わりを、生活デザイン、健康と栄養、人間関係の視点から根底的に見直し、真に充足した健康で快適な生活文化と生活環境を生み出すための教育研究を展開する。
生活デザイン部門では、生活の中でのデザインを探究し、健全なライフスタイルと生活環境をデザインすることを目的とし、実践的な教育研究を展開する。
健康栄養部門では、栄養に関する基礎から応用までの健康・栄養科学に運動生理学領域をも加え、幅広い有機的な研究を行う。栄養に関する生活の知恵や技術を科学的に捉えることなど実践的な諸問題に取り組み、健康生活の実現を目的とした教育研究を行う。
人間関係部門では、望ましい生活環境を創造するための、新たな人間関係を築く方法を考える。人間の発達・形成、「社会化」のメカニズム、および現代社会における人間関係の特性について、心理学・教育学・社会学の立場から教育研究を行う。

[博士後期課程]
生活科学と人間科学の立場からライフスタイルと人間関係の問題を対象とする高度な教育研究を行う。すなわち、人間のライフスタイルの全体を通して、生活と社会の関わりを、生活デザイン、健康と栄養、人間関係の諸領域にわたって綿密に再検討し、真に充足された健康で快適な生活文化と生活環境を見いだすための教育研究を行う。
生活デザイン論研究部門では、生活の中でのデザインを探究し、健全なライフスタイルと生活環境をデザインすることを目的とする教育研究を、学際的な立場から展開し、新たな生活デザイン論の構築に努める。
健康栄養論研究部門では、健康と栄養に関する基礎から応用までの栄養科学にかかわる諸問題に関して、幅広い視点から理論的・実証的研究を行う。
人間関係論研究部門では、社会的に望まれる生活環境の中での人間関係の構造的・機能的特性を解明するために、人間の発達と形成、言語やコミュニケーションのメカニズム、人間行動の機構、現代社会の人間関係や比較文化などに関し、教育学、心理学、社会学、コミュニケーション論などの立場から学際的に追求する教育研究を行う。

Ⅱ.アドミッションポリシー

生活デザイン部門

[博士前期課程]
生活デザイン部門では、生活関連領域のデザインに関する高度な専門知識と技術を持ち、道具・住環境・服飾・構想の各分野で活躍する人材を養成します。

(1)求める学生像

  1. デザインに関する高度な専門知識と技術を身につけ、企業、行政、教育・研究機関等で高度専門職業人として活躍する意志をもつ人(関心・意欲)
  2. デザインに関する問題を解決するために、周囲の人々に自分の考えを伝え、主体性をもって協働作業に取り組むことができる人(表現力・協働性)
  3. デザインに関する基礎学力を修得できている人(知識・理解)
  4. 論理的思考に基づいて、適切に判断できる力のある人(思考力・判断力)

(2)入学者選抜の基本方針

生活デザイン部門の入学試験では、生活デザインに関する基礎学力(知識・理解)を評価します。さらに、実践的な研究に取り組むための研究資質(関心・意欲、表現力・協働性、思考力・判断力)についても評価します。このため、学力検査と口述試験を課します。

(3)選抜方法

学力検査では、生活デザインに関する基礎知識と思考力、英語読解力(留学生の場合は日本語能力)を評価します。口述試験では、「関心・意欲」、「表現力・協働性」を評価します。また出願書類に添付された作品または研究論文によって研究資質(表現力・思考力・判断力)を評価します。

[博士後期課程]
生活デザイン論研究部門では、生活デザインに関するより高度な専門知識と技術を持ち、道具・住環境・服飾・構想の各分野で将来のリーダーとして活躍する人材を養成します。

(1)求める学生像

  1. デザインに関するより高度な専門知識と技術を身につけ、企業、行政、教育・研究機関等で高度専門職業人として活躍する意志をもつ人(関心・意欲)
  2. デザインに関する問題を解決するために、周囲の人々に自分の考えを伝え、リーダーシップを含む主体性をもって協働作業に取り組むことができる人(表現力・協働性)
  3. デザインに関する専門知識と技術を修得できている人(知識・理解)
  4. 自身のもつ専門知識と論理的思考に基づいて研究テーマを決定し、研究計画を立て、その計画に基づいて研究を遂行できる人(思考力・判断力)

(2)入学者選抜の基本方針

生活デザイン論研究部門の入学試験では、面接によって、生活デザイン研究のための関心・意欲、表現力・協働性、知識・理解、思考力・判断力を評価します。

(3)選抜方法

面接では、これまでの研究・実務経験、作品、研究論文、今後の研究計画等を総合して、生活デザイン論研究のための「関心・意欲」、「表現力・協働性」、「知識・理解」、「思考力・判断力」を評価します。「作品、研究論文」は提出物に対する審査を行います。

健康栄養部門

[博士前期課程]
健康栄養部門では、生命科学に基づいた栄養学、健康科学に関する高度な専門知識と技術を持ち、疾病の予防や治療、健康の維持・増進などの諸分野で活躍する人材を養成します。そのために、次のような学生を求めています。

(1)求める学生像

  1. 栄養学、健康科学に関する基礎学力と専門知識を修得できている人(知識・理解)
  2. 医療・福祉機関、行政機関、研究・教育機関、企業等で高度専門職業人として活躍する意志をもつ人(関心・意欲)
  3. 栄養学、健康科学に関する問題を解決するために、周囲の人々に自分の考えを伝え、リーダーシップあるいはフォロワーシップを含む主体性をもって協働作業に取り組むことができる人(表現力・協働性)
  4. 科学的根拠をもとに、論理的思考に基づいて、適切に判断できる力のある人(思考力・判断力)

(2)入学者選抜の基本方針

健康栄養部門の入学試験では、学部までの教育課程を尊重し、栄養学、健康科学に関する基礎学力と専門知識を評価します。さらに、学部教育や日常生活によって培われた、関心・意欲、表現力・協働性、思考力・判断力についても評価します。このため、学力検査と口述試験を課します。

(3)選抜方法

【一般選抜】

学力検査では、栄養学、健康科学を主とした生命科学に関して、専門科目を課し、「知識・理解」、「思考力・判断力」を評価します。英語については一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会の実施するTest of English for International Communication (TOEIC®) のTOEIC®Listening & Reading Test を利用します。口述試験では、「関心・意欲」、「表現力・協働性」を評価します。
試験科目の配点を次のとおりとします。

配点

試験科目 配点合計
専門科目※1 英語※2 口述試験
200 100 100 400

※1 専門科目では、運動栄養学、基礎栄養学、公衆栄養学、食品栄養学、病理病態学、臨床栄養学の分野から出題します。この中から2分野を選択して解答してください。なお、必ずしも志望研究領域にかかわる分野の問題を選択する必要はありません。
※2 英語は、2019年4月以降に受験した、TOEIC®公開テストまたはTOEIC®-IP テストのTOEIC® Listening & Reading Testスコアを次の式により換算します。

換算点=(TOEIC®のスコア-100)×0.16

ただし、式による換算点が100点を超える場合は100点とし、0点に満たない場合は0点とします。

【社会人特別選抜】

学力検査では、栄養学、健康科学を主とした生命科学に関して、小論文を課し、「知識・理解」、「思考力・判断力」、「表現力・協働性」を評価します。口述試験では、「関心・意欲」、「表現力・協働性」を評価します。

【外国人留学生特別選抜】

学力検査では、栄養学、健康科学を主とした生命科学に関して、小論文を課し、「知識・理解」、「思考力・判断力」、「表現力」を評価します。口述試験では、「関心・意欲」、「表現力・協働性」を評価します。

[博士後期課程]
健康栄養論研究部門では、生命科学に基づいた栄養学、健康科学に関するより高度な専門知識と技術を持ち、疾病の予防や治療、健康の維持・増進などの諸分野で将来のリーダーとして活躍する人材を養成します。そのために、次のような学生を求めています。

(1)求める学生像

  1. 博士前期課程までに修得する程度の栄養学、健康科学に関する専門知識と技術を修得できている人(知識・理解)
  2. 国内外の医療・福祉機関、行政機関、研究・教育機関、企業等で高度専門職業人として活躍する意志をもつ人(関心・意欲)
  3. 栄養学、健康科学に関する問題を解決するために、周囲の人々に自分の考えを伝え、リーダーシップを含む主体性をもって協働作業に取り組むことができる人(表現力・協働性)
  4. 自身のもつ専門知識と論理的思考に基づいて研究テーマを決定し、研究計画を立て、その計画に基づいて研究を遂行できる人(思考力・判断力)

(2)入学者選抜の基本方針

健康栄養論研究部門の入学試験では、大学院博士前期課程までの教育課程を重視し、栄養学、健康科学に関する関心・意欲、表現力・協働性、知識・理解、思考力・判断力を評価します。このため、面接と修士論文等の審査を課します。

(3)選抜方法

面接では、これまでの研究・実務経験、今後の研究計画等を含む栄養学、健康科学を主とした生命科学に関して、「関心・意欲」、「表現力・協働性」、「知識・理解」、「思考力・判断力」を評価します。

修士論文等の審査では、「知識・理解」、「思考力・判断力」、「表現力」を評価します。

人間関係部門

[博士前期課程]
人間関係部門では、心理学・社会学・教育学の3つの学問分野に基づいた人間関係学に関する高度な専門知識と技術を持ち、さまざまな共同体の中で人間関係をどう構築すべきかを考え、活躍する人材を養成します。そのために、次のような学生を求めています。

(1)求める学生像

  1. 共同体での人間関係を考えるための高度な専門知識と技術をもとに、さまざまな組織や集団で人間関係の構築に携わる職業人として活躍する意志をもつ人(関心・意欲)
  2. 人間関係に関する問題を解決するために、周囲の人々に自分の考えを伝え、主体性をもって協働作業に取り組むことができる人(表現力・協働性)
  3. 人間関係学に関する大学卒業程度の基礎学力を修得できている人(知識・理解)
  4. 科学的根拠をもとに論理的に思考し、これを基に人と人との関係を適切に判断できる力のある人(思考力・判断力)

(2)入学者選抜の基本方針

人間関係部門の入学試験では、学部までの教育課程を尊重し、人間関係学に関する基礎学力を評価します。さらに、学部教育や日常生活あるいは職業生活によって培われた、関心・意欲、表現力・協働性、思考力・判断力についても評価します。このため、学力検査と口述試験を課します。

(3)選抜方法

学力検査では、心理学・社会学・教育学を主とした人間関係に関する学問として、英語読解力を含む「知識・理解」、「思考力・判断力」を評価し、小論文によって「思考力・表現力」を評価します。口述試験では、「関心・意欲」、「協働性」を評価します。

[博士後期課程]
人間関係論研究部門では、心理学・社会学・教育学の3つの学問分野を基礎とする人間関係学に関する、より高度な専門知識と技術を持ち、研究者として、あるいはさまざまな共同体で人間関係の構築に携わる将来のリーダーとして活躍する人材を養成します。そのために、次のような学生を求めています。

(1)求める学生像

  1. 人間関係学に関するより高度な専門知識と技術をもとに、国内外のさまざまな共同体において高度専門職業人として活躍することができる人(関心・意欲)
  2. 人間関係学に関する問題を解決するために、周囲の人々に自分の考えを伝え、リーダーシップを含む主体性をもって協働作業に取り組む意志をもつ人(表現力・協働性)
  3. 博士前期課程程度の人間関係学に関する専門知識と技術を修得できている人(知識・理解)
  4. 自身のもつ専門知識と論理的思考に基づいて研究テーマを決定し、研究計画を立て、その計画に基づいて研究を遂行できる人(思考力・判断力)

(2)入学者選抜の基本方針

人間関係研究部門の入学試験では、面接と修士論文等の審査によって、人間関係学に関する関心・意欲、表現力・協働性、知識・理解、思考力・判断力を評価します。

(3)選抜方法

面接では、修士論文を含むこれまでの研究および実務経験、今後の研究計画等について、人間関係学に関する「関心・意欲」、「表現力・協働性」、「知識・理解」、「思考力・判断力」を評価します。

Ⅲ.カリキュラムポリシー

生活文化学専攻は、人材の養成に関する目的の達成のため、下記のような教育課程を編成します。

[博士前期課程]
道具デザイン特論、服飾デザイン特論、住環境デザイン特論などの科目を配置する。またセミナー形式での報告・討論などで研究の進展を確認していく観点から、生活文化学特別演習、生活文化学特別研究等の科目を配置する。

[博士後期課程]
研究者として必要な研究方法や理論的知識の取得、学位論文の執筆等の観点から、生活デザイン論特別演習、生活デザイン論特別研究、研究方法特論などの科目を配置する。

健康栄養部門

[博士前期課程]
学士課程で得た栄養学の知識と技術を基盤とした上で、次世代の栄養学分野の課題を講義し、解決できる知識・技術を習得するための科目を配置する。

[博士後期課程]
栄養学の指導者に必要となる知識・研究方法を与える。強い責任感、高い倫理感を養成するための教育を行う。また、常に新しい研究成果と意義を議論できる能力を習得させる。

人間関係部門

[博士前期課程]
心理学、教育学、社会学など人間関係論にかかわる各分野の知見を専門的かつ学際的に学ぶ科目を配置する。人間の心や社会の諸問題に積極的にかかわるための方法論を習得し、課題解決に資する共同討議を行うための生活文化学特別演習、生活文化学特別研究、研究方法特論などの科目を配置する。

[博士後期課程]
人間らしい心の発達と生きがいの感じられる生活や社会システムの構築において、リーダーシップを発揮する市民、研究者に必要な、学際的な知見や研究方法を習得するために、人間関係論特別演習、人間関係論特別研究、研究方法特論などの科目を配置する。

Ⅳ.ディプロマポリシー

生活文化学専攻各部門は、人材養成の目的を達成するため、下記の通り、修了時点において学生が身につけるべき能力を定めます。
各課程において、所定単位の修得と学位論文等の審査基準に基づく審査の合格により、その達成とみなし、前期課程においては修士学位、後期課程においては博士学位を授与します。

生活デザイン部門

[博士前期課程]

  1. A.生活に関わるデザインについて広範な知識を身につけ、適切なデザインを実現する方法について理解することができる。(知識・理解)
  2. B.生活に関わるデザインのあり方に広い関心を持ち、自ら学んだことを基に課題を設定し、それを解決しようとする姿勢を持つ。(興味・関心)
  3. C.明確な目的をもつ研究テーマについて適切な方法で研究し、論文または制作物としてまとめることができる。(思考・判断)(技能・技術)

[博士後期課程]

  1. A.生活に関わるデザインについて広範な知識を身につけ、適切なデザインを実現する方法について理解することができる。(知識・理解)
  2. B.生活に関わるデザインのあり方に広い関心を持ち、自ら学んだことを基に課題を設定し、それを解決しようとする姿勢を持つ。(興味・関心)
  3. C.独創性・新規性のある学術研究をおこない、その成果を各専門分野において評価される論文としてまとめ、対外的に発表できる。(思考・判断)(技能・技術)

健康栄養部門

[博士前期課程]

  1. A.栄養学とは人が食べた後の食べ物の運命を扱う生物物理化学であることが理解できる。(知識・理解)(興味・関心)
  2. B.栄養学の知識と技術を、健康の維持に活用できる。(知識・理解)(技能・技術)
  3. C.自らが行った研究について、その内容を科学的・理論的かつ判りやすくまとめ上げて説明・報告ができる能力を身につける。(思考・判断)(技能・技術)

[博士後期課程]

  1. A.栄養学の未知の領域を拓くための深い学識と高度な実験技術と分析能力を身につけている。(知識・理解)(技能・技術)
  2. B.自ら研究計画を立てることができ、その計画を遂行できる。(思考・判断)(技能・技術)
  3. C.自らの成果を世界に向けて発信できる。(知識・理解)(思考・判断)(技能・技術)

人間関係部門

[博士前期課程]

  1. A.人間関係論にかかわる心理学・教育学・社会学を中心とする専門的な知識を自ら探求し、身につけることができる。(知識・理解)(興味・関心)
  2. B.人間関係論に隣接する諸分野に積極的な興味と関心を持ち、人間にかかわる幅広い考究の一地点に自らのテーマを位置づけることができる。(興味・関心)(思考・判断)
  3. C.人間関係論を拓くための定量的/質的な分析を行うための技法を自ら探求し、身につけることができる。(思考・判断)(技能・技術)
  4. D.人間関係論の多様なあり方を議論することができ、それを口頭や文章で表現することができる。(思考・判断)(技能・技術)

[博士後期課程]

A.人間関係論にかかわる研究成果を学び、それらを評価するための総合的思考力と批判的判断力を身につけている。(知識・理解)(思考・判断)

B.人間関係論の新たな地平を拓くための深い学識と高度な調査・実験能力および分析能力を身につけている。(知識・理解)(技能・技術)

C.自らの研究成果を幅広く、多様な人々と交流するためのコミュニケーション、プレゼンテーションや論文執筆の能力を身につけている。(思考・判断)(技能・技術)