地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+事業)

概要

本学は、平成27年度の文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」に、県内5大学(滋賀大学、成安造形大学、聖泉大学、びわこ学院大学、びわこ成蹊スポーツ大学)、滋賀県、経済団体等と連携して申請し、採択されました。
COC+大学(幹事校)である本学においては、事業期間が終了する令和元年度まで地域共生センターにCOC+推進室を設置するなど体制を整備し、地域が求める人材を養成する教育プログラムの改革や地元就職率の向上・雇用拡大等を積極的に進めてきました。

●本学における主な取組

1 教育プログラムの改革

・近江楽士(地域学)副専攻ソーシャルアントレプレナー(SE)コースの新設

2 地元就職率の向上

・中期インターンシップ

・ジョブ交座

3 雇用拡大・雇用創出

・大学によるアイディアコンテスト

●COC+参加の5大学との連携事業

・「地域コミュニケーション論」やFD研究の合同実施

・「地域共生論」の共通科目化

・中期インターンシップの共同実施

・近江楽座の展開など

主な数値目標と達成状況

●地元就職率

平成26年度実績 29.8%(うち滋賀県立大学 28.9%)

平成30年度実績 30.4%(うち滋賀県立大学 30.3%)

令和元年度目標/実績 39.8%/29.9%

(うち滋賀県立大学 38.9%/29.5%)

●中期インターンシップ参加者数

平成30年度実績 38人(うち滋賀県立大学 8人)

令和元年度目標/実績 50人/37人

(うち滋賀県立大学 20人/3人)

地元就職率に関しては、昨今のいわゆる学生優位の「売り手市場」が継続し、県外企業への就職が進んだため目標を達成できませんでした。一方で、滋賀県内大学全ての地元就職率は、平成28年度19.5%から令和元年度は17.1%と年々減少している一方で、COC+参加大学の地元就職率は、令和元年度で29.9%とわずかではあるが増加していることから、事業の効果は一定見られます。
特に、ソーシャル・アントレプレナーコースについて見ると、同30年度、令和元年度の2年間の修了生8名のうち、大学院進学の2名を除き6名すべてが滋賀県での就職となったことは、事業の成果と判断できます。

SEコースMBA入門

SEコース授業風景:地域の経営者を囲んで意見交換

主な取組の結果

近江楽士(地域学)副専攻ソーシャルアントレプレナー(SE)コース

本コースは、ビジネスの発想と手法によって地域課題を解決に導く起業的人材や起業家的精神をもって地元企業等でリーダーシップを発揮する人材の育成を目指すもので、「コミュニティとライフデザイン」「MBA入門」、「地域企業講座」、「地域デザインC」または「地域デザインD」を履修し、併せて所属する学科の修了要件を満たすと副専攻の修了が認められ、近江楽士(ソーシャル・アントレプレナー)の称号が授与されます。
近江楽士(SEコース)の称号授与者は、平成30年度3名、令和元年度5名で、このうち大学院進学の2名を除く6名すべてが滋賀県で就職されています。

【平成30年度SEコース修了者の声】

「長い目で経営を考えている社長の方々に影響を受けました。企業の強みについて詳しく話を聞く中で、持続性のあるビジネスプランを考えることの重要性に気づきました。」

中期インターンシップ

15日間以上の課題解決型の職場実習を通じて学生が地元の企業をより深く理解することができる中期インターンシップを参加5大学と共に推進しました。
グループワークや疑似業務体験等により、学生と社員との交流の促進に加え、実際の仕事に近い内容に触れることができ、企業や仕事に対する理解度が深まり、志望度を高める効果が見られました。また、学生が自己の能力の伸長の必要性や適性等についてより多くの気づきを得ることができ、あした。
中期インターンシップ終了後は、参加した学生、受入れ企業、大学担当者による発表と振り返り、今後の目標などについてグループワークや発表、意見交換等を行いました。

【中期インターンシップ参加者の声】

「大学での学びが企業においてどのように役立つかを知ることができた。」
「働くイメージができ、自分自身に足りないものが何か気づくことができた。」
「滋賀県内にたくさんの企業があることが分かった。」
「近くで仕事を見ることができ、企業の求める人材や能力を知ることができた。」

中期インターンシップ

中期インターンシップの実習風景

ジョブ交座

本学独自の取組で、県内企業の若手社員等が学生ホールに企業PRブースを出展し、学生と気軽に交流するイベントである。働くことへの不安や疑問を解消するとともに、優良な地元企業の存在を知るきっかけを提供し、学生と地元企業の相互理解を促進した。

【ジョブ交座の実施状況】

平成30年度 令和元年度
実施回数 3回 5回
参加企業等の数 12社 18社
参加学生数 181人 250人

大学によるアイディアコンテスト

創業・起業による雇用創出に向けて、学生のアントレプレナーシップの醸成を図るため「大学によるアイデアコンテスト」を実施しました。コンテストは、滋賀中央信用金庫(令和元年度は湖東信用金庫も参加)との共催で実施し、大学生の地域課題をビジネス的な手法で解決する事業計画を募集し、公開プレゼンテーションを経て優秀なものを表彰しました。

【滋賀県立大学学生の表彰テーマ実績】

平成28年度 最優秀賞 「おきしま湖散歩~沖島を淡水湖ダイビングのメッカに~」

平成29年度 準グランプリ 「環境にやさしい燃料電池自動車に使われる触媒の開発と事業化」

平成30年度 グランプリ 「新可視光応答型触媒の開発」

令和元年度 審査委員奨励賞「フラーレンが切り開く壁で発電する時代」

COC+事業終了後の取組の継続と拡大

令和元年度をもってCOC+事業は終了しましたが、今後も本事業で得られた成果を確実に継承するとともに、COC+6大学だけでなく県内13大学にも拡大し、学生の地元志向や地元就職率の向上を通じて地方創生につながるよう取組を進めています。

滋賀県立大学におけるCOC+事業の成果の継承と発展

滋賀県立大学では、本学での成果をもとにこれまで6大学共同の取組として実施してきました全学必修科目の「地域共生論」、学生主体の地域活動「近江楽座」を引き続き実施しています。

特に、教育プログラムのうちの近江楽士(地域学副専攻)ソーシャルアントレプレナー(SE)コースはこれまでの成果をもとにより起業家教育を発展させるため、令和3年度から科目構成を見直し、新たに必修科目として「ソーシャルビジネス概論」「MBA入門」「ビジネスプランニング」、選択必修科目として「地域デザインC(コミュニティビジネスの実践)」「地域デザインD(ビジネスプランを実践)」に再編しました。これにより、各学部における専門分野の学びに加えて、副専攻SEコースで起業家的な思考、ノウハウを併せて学ぶことで、社会において新たな変革を起こすアントレプレナーシップを持った人材を養成します。

また、地元企業の理解と地元就職の機運醸成に資する15日間以上の中期インターンシップについては協定型インターンシップの一類型として、学生が気軽に地元企業等の方と交流するジョブ交座も継続実施しています。