大学院工学研究科材料科学専攻の寺倉啓悟さんと長田直也さんが、プラスチック成形加工学会「成形加工シンポジア'22」のポスターセッションにおいて、「優秀ポスター賞」を受賞しました

2023年1月18日

プラスチック成形加工学会第30回秋季大会「成形加工シンポジア'22」において、本学大学院工学研究科材料科学専攻博士前期課程の寺倉啓悟さんと長田直也さんの発表が「優秀ポスター賞」を受賞しました。

この賞は、プラスチック成形加工学会が年に2回開催する全国大会のひとつである「成形加工シンポジア」のポスターセッションにおいて、優れた発表を行った若手研究者に送られるものです。今年度は、98件の審査対象発表から11件が優秀ポスター賞に選出され、その中の2件として寺倉さんと長田さんの発表が選ばれました。学会初日にホテルオークラで開催された表彰式において、表彰状と記念の盾が贈呈されました。

発表内容について(1)

■題目:ETFE系ブレンド材料を用いた高圧水素タンク用ライナー材料に関する研究

■発表者:長田直也、徳満勝久、竹下宏樹、西栄一(AGC株式会社)、佐々木徹(AGC株式会社)、西村伸(九州大学)、藤原広匡(九州大学)

■概要:燃料電池自動車などに搭載される高圧水素タンクのライナー材には低温でも脆性破壊しない「低温脆化耐性」と高圧水素環境下に曝されても破壊しないような「高圧水素耐性」が必要であるとされています。本発表ではガスバリア性に優れ「高圧水素耐性」を有すると考えられるEVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)、PA6-66(ポリアミド6-66共重合体)のそれぞれに対して、「低温脆化耐性」が優れたETFEをブレンドすることによって二つの特性を両立する可能性の検討を行いました。EVOH/ETFEブレンドは高圧水素耐性に優れるが、低温で脆性的になってしまうこと、 PA/ETFEブレンドでは高圧水素耐性が不十分であることが示唆されました。

発表内容について(2)

■題目:大環状分子を含んだポリオキシメチレンの結晶高次構造

■発表者:寺倉啓悟、竹下宏樹、徳満勝久、神田裕基(ポリプラスチックス株式会社)、細井悠平(ポリプラスチックス株式会社)

■概要:末端基をもたない特殊な高分子である環状高分子は近年研究が盛んに行われているものの未だ未解明な点が多い分野です。本発表では、環状高分子の結晶高次構造に着目し、その違いによる結晶化挙動等への影響を放射光を利用したX線散乱法等を用い検討・考察を行いました。その結果、環状分子の存在はその濃度によって正反対の効果を及ぼしうることが明らかとなりました。また、環状分子添加により結晶ラメラ厚を制御可能であることも示されました。この結果は、高分子の結晶化機構に関する基礎的理解を深めるとともに、環状高分子の利用可能性を拡大するものです。

成形加工シンポジア賞状(寺倉・長田)_01.jpgのサムネイル画像