材料科学専攻の杉下さんが第15回 有機π電子系シンポジウムでポスター賞 (BCSJ award) を受賞しました

2023年1月10日

大学院工学研究科材料科学専攻博士前期課程2回生の杉下弘樹さん(指導教員:加藤真一郎准教授)が、第15回 有機π電子系シンポジウムでポスター賞(BCSJ award)を受賞しました。本表彰は、このシンポジウム(2022年12月16−17日、上郷・森の家)において行われた若手研究者のポスター発表の中で、優れた発表を行った発表者に対して贈られるものです。

発表内容について

■ 題目: 硫黄または酸素を架橋部位に有するトリフェニルアミン二量体のカチオン種の合成と物性

■ 発表者: 杉下弘樹、鈴木修一、松本泰昌、北村千寿、加藤真一郎

■ 概要: 不対電子を2つ有する開殻性の化合物はジラジカルと呼ばれます*。ジラジカルには閉殻化合物にはない、開殻化合物に特有の電子的・磁気的性質があるため、その合成と物性の解明に興味がもたれています。しかし、ジラジカルは一般に不安定であるため、合成例は多くありません。本研究では、独自に開発したトリフェニルアミン骨格を利用してカチオン種に導き、安定なジラジカルを系統的に合成することに成功しました。その構造と物性を調べた結果、分子内に含まれる硫黄/酸素原子の違いなどを反映して種々の性質が変化することがわかりました。安定なジラジカルの合成、およびその物性の制御に関する分子設計指針が得られました。今後は、磁気的特性をより詳しく検討するとともに、多彩な構造をもつジラジカルを開発していく予定です。

* 2つの不対電子には相互作用があり閉殻構造の寄与を有するため、ジラジカロイドとも呼ばれる。

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