健康栄養論研究部門の水谷天音さんと健康栄養部門の後藤千尋さんが「令和4年度 日本栄養・食糧学会学生優秀発表賞」を受賞しました

2022年07月05日
 

大学院人間文化学研究科生活文化学専攻健康栄養論研究部門博士後期課程の水谷天音さんと、同健康栄養部門博士前期課程の後藤千尋さんが、それぞれ「第76回日本栄養・食糧学会大会」にて「学生優秀発表賞」を受賞しました。この賞は、学生の研究を奨励することを趣旨として、大会で発表された優秀な研究に授与し、顕彰するものです。

今年度は、89名のエントリーから一次審査により候補者が40名に絞られ、さらにポスター発表による審査の結果、10名の受賞者が選出されました。その中の2名に本学学生が選ばれました。(受賞者一覧はこちら

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水谷天音さんの受賞内容について

【題目】ナイアシン栄養状態を評価するモデル動物の確立

【発表者】水谷天音、畑山翔、佐藤未羽、山本康子、齋藤邦明、福渡努

【発表の概要】

ナイアシンはエネルギー産生、老化、長寿などさまざまな生体機能に関与する重要なビタミンであるにもかかわらず、ナイアシン栄養状態に影響をおよぼす因子に関する研究は進んでいません。本研究では、必須アミノ酸トリプトファンからナイアシンを合成できないマウスを用いることにより、ナイアシン栄養状態を評価するためのモデル動物を確立することを目的としました。このマウスにさまざまな量のナイアシンを含む食餌を与えることにより、マウスの成長に必要なナイアシン必要量、ナイアシン摂取量とナイアシン生体指標との関係を明らかにしました。さらには、ナイアシン摂取量が少なくなることによって、長寿に関与するSIRTの発現量が低下することを見出しました。本研究結果により、ナイアシン栄養状態を評価するモデル動物を確立し、ナイアシン栄養状態を変動させる因子、ナイアシン低栄養状態が生体におよぼす影響の解明など、ナイアシン栄養に関する研究を発展させることが可能となりました。

後藤千尋さんの受賞内容について

【題目】エタノール摂取がナイアシン栄養状態におよぼす影響

【発表者】後藤千尋、水谷天音、山本康子、齋藤邦明、畑山翔、福渡努

【発表の概要】

ナイアシン栄養状態を低下させると考えられている因子の一つにエタノール摂取が挙げられますが、生体を用いた実証はなされていません。本研究では、ナイアシン栄養状態を評価するモデルマウスを用いて、エタノール摂取がナイアシン栄養状態におよぼす影響について調べました。マウスへの継続的なエタノール摂取により、成長抑制、ナイアシン生体指標の低下が認められました。これらのエタノール摂取による悪影響は、ナイアシン付加によって改善されました。さらに、ナイアシン代謝はエタノール摂取の影響を受けないことを明らかにしました。以上の結果より、エタノール摂取がナイアシン栄養状態を低下させる因子であることを明らかにしました。その要因として、エタノール摂取によってNAD消費が亢進したためであると考えられます。

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