環境科学研究科博士後期課程(論文投稿受理当時)の舟尾俊範さんが2015年度日本魚類学会論文賞を受賞しました

2015/12/17
 

 このたび、環境科学研究科環境動態学専攻博士後期課程(論文投稿受理当時)の舟尾俊範さんが2015年度日本魚類学会論文賞を受賞しました。

・日本魚類学会論文賞について

 この賞は日本魚類学会が過去3年間に発行した学会誌(Ichthyological Research および魚類学雑誌)に掲載された優れた論文を選び、その著者に授与されるものです。魚類学雑誌に掲載された論文のうち、2015年度の論文賞として舟尾さんの論文が選ばれました。

・受賞論文

 舟尾俊範・高倉耕一・西田隆義・沢田裕一 (2014) 標識再捕獲調査とベイズモデルによるナマズSilurus asotusの繁殖集団の動態の推定. 魚類学雑誌, 61: 15-26

・研究内容について

 本研究は、琵琶湖東岸(彦根市)の水路に産卵のために遡上するナマズの集団サイズや季節動態を明らかにしたものです。標識調査、目視観察、統計モデルを組み合わせナマズ集団の動態を推定しました。その結果、ナマズの繁殖集団は、長期にわたって繁殖に参加する少数のオスと、短期だけ繁殖に参加する多数のメスからなること、つまりメスの入れ替わりが多い集団であることがわかりました。また、幅2~3m程度の小さな水路でも、繁殖に参加する個体は最大で100尾以上にもなることを明らかにしました。

 琵琶湖に生息する魚類の繁殖場所として水田や水路などの周辺湿地で繁殖していることはこれまでにも知られていましたが、定量的な評価は十分ではありませんでした。本研究の成果は、周辺湿地の魚類繁殖場所としての重要性を定量的に明らかにすると同時に、野外調査における統計モデリングの可能性を示したものです。 

受賞風景
賞状
 

ナマズ