工学部材料科学科(ガラス工学研究センター 兼任)山田明寛 准教授と愛媛大学との共同研究により透明なヒスイの合成に成功しました

2021年10月21日
 

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概要:
工学部材料科学科(ガラス工学研究センター 兼任)山田明寛 准教授と地球深部ダイナミクス研究センターの研究グループ(満 圭祐 氏,入舩徹男 教授,大藤弘明 教授)は,「良質」なガラスを超高圧下で熱処理することにより透明なヒスイを合成することに成功しました.

 

【研究概要】

ヒスイは2016年,日本鉱物科学会が定めた国石です.天然に見られるヒスイは,不純物や結晶の粒界などによる光の散乱が原因で透明性を示しません.透明な多結晶体を得るためには,結晶サイズ(粒径)を可視光の波長より短くし,かつ結晶どうしの隙間(粒界)を極限まで抑制する必要があります.これらの目的を達成するため,泡などの不純物を含まず,粒界をもたないヒスイ組成(NaAlSi2O6+Cr2O3)のガラスを原料としました.さらに,このガラスに10〜20 万気圧の超高圧下で熱処理(900〜1300℃)を施し,結晶化させることでヒスイの多結晶体,いわゆる「ガラスセラミックス」の合成を試みました.得られたガラスは粒径200〜300 nmの結晶からなる多結晶体で可視光の波長(紫380 nm)よりも小さな結晶が密に結合されていることがわかりました.

このような,高温高圧処理による結晶化ガラス合成は,新たな高硬度材料および優れた光学特性を有する材料の開発手法として注目されつつあります.

※本研究成果は、日経新聞全国版・愛媛新聞に掲載され、その他数社からの取材を受けています。

【研究題目】

(英文)

Synthesis of transparent polycrystalline jadeite under high pressure and temperature

(和文)

透明ヒスイ輝石多結晶体の高温高圧下での合成

Keisuke Mitsu,Tetsuo Irifune,Hiroaki Ohfuji and Akihiro Yamada

Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 2021 Volume 116 Issue 4 Pages 203-210.

 

論文参照先: DOI: https://doi.org/10.2465/jmps.210319