工学部機械システム工学科の奥村進教授がロバストパラメータ設計に関する新たな最適化手法を国際学術誌に発表しました
2026年5月28日
工学部機械システム工学科の奥村進教授がロバストパラメータ設計に関する新たな最適化手法を国際学術誌 Computers & Industrial Engineering (生産システムや最適化分野における世界的主要学術誌、Impact Factor 6.5,SJR Q1,出版社 Elsevier) に発表しました。
その研究は、不確実性を伴う工学システムにおいて性能のばらつきを抑えつつ最適設計を行うための新しい理論的枠組みを提案するものであり、製造業や航空宇宙分野など幅広い工学分野への応用が期待されます。また、科学研究費補助金研究代表者、JP21K12340) による研究成果です。科学研究費による研究成果でもあることから、論文にはオープンアクセスを設定し、上記雑誌名のリンクからどなたでもダウンロードできるようにしてあります。
- 発表論文:Susumu Okumura, Advancing robust parameter design with gradient strength and mixture distribution metrics, Computers & Industrial Engineering, Volume 217, 2026, 112099. Available online 8 May 2026.
- 論文の邦題:勾配強度および混合分布に基づく指標を用いたロバストパラメータ設計の高度化
本研究では、ロバストパラメータ設計における評価指標として新たに「勾配強度 (gradient strength)」と「混合分布(mixture distribution)」に基づく指標 (metrics) を導入し、設計対象に関して理論モデルが利用可能な場合と実験データに基づく場合の双方に対応可能な統合的枠組みを提案しました。研究成果をまとめると次の通りです。
- 理論モデルが利用可能な場合には、感度解析に基づく評価指標を用いた最適化手法 (GSBO) を提案し、設計パラメータとノイズの相互作用を効率的に評価できることを示しました。
- 理論モデルが利用できない場合には、実験データから構成した確率分布に基づく最適化手法 (MDBO)を提案し、不確実性を含む現実的な設計問題に適用可能であることを示しました。
- これらの手法を統合したロバストパラメータ設計フレームワークを構築し、工学システムの設計事例において有効性を検証しました。
- 本研究では、品質特性に対するノイズの影響を評価する共通リスク汎関数の異なる評価方法として、GSBOとMDBOを位置づけています。理論モデルが利用可能な場合にはGSBOとして解析的に評価し、実験データのみが利用可能な場合にはMDBOとして経験分布または混合分布に基づいて評価します。さらに、サンプル数や混合分布近似の精度が高まると、MDBOの目的関数および最適解は真のリスク最小化問題に収束し、部分的に物理モデルが利用可能な場合にはGSBOとMDBOを連続的に接続するハイブリッド形式として定式化できます。
本研究により、理論モデルとデータ駆動型手法を統合した新しい設計指針が示され、複雑な工学システムにおける品質安定化および最適設計の高度化に寄与することが期待されます。
図:品質特性へのノイズの影響を抑制する統合ロバストパラメータ設計フレームワーク(理論式の有無に応じてGSBOまたはMDBOを選択)
(図をクリックすると拡大表示されます。)



