工学部機械システム工学科の奥村 進教授が使用済みの工業製品のリユースやリサイクルによる資源循環に関する評価理論を国際学術誌に発表しました

2022年07月26日

工学部機械システム工学科の奥村 進教授が使用済みの工業製品のリユースやリサイクルによる資源循環に関する評価理論を国際学術誌Computers & Industrial Engineering (Impact Factor 7.180,SJR Q1,出版社 Elsevier) に発表しました。この研究成果は、持続可能な社会づくりに寄与することが期待されます。また、科学研究費補助金(研究代表者,JP17K00671,JP21K12340)による研究成果です。科学研究費による研究成果でもあることから、論文にはオープンアクセスを設定し、次のURLからどなたでもダウンロードできるようにしてあります。

https://doi.org/10.1016/j.cie.2022.108232

発表論文:Susumu Okumura, Reuse-efficiency model for evaluating circularity of end-of-life products, Computers & Industrial Engineering, Volume 171, 2022, 108232. Available online 11 May 2022.

論文の邦題:使用済み製品の循環性評価のためのリユース効率モデル

工業製品の設計、製造、販売、使用、廃棄にわたる一連の流れにおいて、限りある地球資源を効率よく長期間にわたって使っていくことが肝要です。このような状況に伴い、工業製品の使用段階や廃棄段階だけでなく、設計段階から環境負荷を少しでも小さくするために環境配慮型設計(エコデザイン)の研究が行われています。この研究では、使用済み製品が工場に回収され、リユース、リサイクル、廃棄という何れかの選択がなされることを想定した資源循環を対象にしています。研究成果をまとめると次の通りです。

(1) 使用済み製品の循環性を評価するための指標として「リユース効率」を考え、その確率モデルを構築しました。また、工業製品の長寿命化、使用済み製品の回収率、および工業製品のリユース回数がリユース効率とどのような関係にあるのかを調べました。この成果の一部を下図に示します。

(2) 使用済み製品をリユースするためには製品の耐久性を高めて長寿命にしておく必要があります。しかし、長寿命化には製品に使用されている部品を長寿命にしなければならないなど、コストが一般に発生します。また、使用済み製品を回収するときにもコストが発生します。そこで、リユース効率を大きくすることと、同時にコストを小さくすることを目的とした数理計画問題を考え、製品耐久性、回収率、およびリユース回数に関する最適解を導きました。これによって、製品耐久性、回収率、およびリユース回数を合理的に決めることができるようになりました。

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図:工業製品の相対耐久性、使用済み製品の回収率、およびリユース効率の関係例

(図をクリックすると拡大表示されます。)