材料科学専攻の加藤豪起さんが日本セラミックス協会 第35回秋季シンポジウムにおいて「優秀講演奨励賞」を受賞しました

2022年11月03日

大学院工学研究科材料科学専攻博士前期課程2回生の加藤豪起さんが,日本セラミックス協会第35回秋季シンポジウムで優秀講演奨励賞を受賞しました。本表彰は,このシンポジウム(2022年9月14−16日,徳島大学三島キャンパス,ハイブリッド開催)の特定セッション「ガラスの科学」において行われた若手研究者のポスター発表の中で,優れた発表を行った発表者に対して贈られるものです。

発表内容について

■ 題目: ホウケイ酸塩ガラスのせん断応力による変形挙動

■ 発表者: 加藤豪起,山田明寛,松岡純

■ 概要: ガラスは透明性・化学的耐久性など様々な機能性を有するため,「脆さ」を克服することで更なる利用の拡大が期待できます。ガラスが割れに至るまでには,複雑な力が材料中に発生し,それらに応じた変形が生じます。本研究ではそのうちの一つ,「せん断応力」をホウケイ酸塩ガラス*に加え,その変形の様子を調べました。その結果,せん断応力がある値を超えると,室温・固体であるにもかかわらず流動とみられる変形を生じることがわかりました。さらに,この流動の機構を原子レベルで見ると,ホウ素イオンが四つの酸素に囲まれた四面体構造から平面三角形構造へと変化し,これが流動方向に配列することで変形が生じている可能性を示唆しました。今後は,この流動の様子とそのメカニズムを強力なX線を用いて観察することにより,その詳細を究明していく予定です。

* ホウ酸(B2O3)とケイ酸(SiO2)を主成分とするガラス。ディプレイ用の板ガラスや医薬品用など幅広く利用されている。

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(写真:加藤豪起さん(右)と山田明寛准教授(左))