日本陸水学会近畿支部会第34回研究発表会において、大学院環境科学研究科環境動態学専攻(生態系保全部門)博士前期課程2年の長鶴拓海さんの口頭発表が「優秀賞」を受賞しました

2023年2月27日

2023219日(日曜日)に岡山理科大学で開催された日本陸水学会近畿支部会第34回研究発表会において、本学大学院環境科学研究科環境動態学専攻(生態系保全部門)博士前期課程2年の長鶴拓海さんの口頭発表が「優秀賞」を受賞しました。

この研究会は、日本陸水学会所属の関西圏の研究者が運営する支部会が毎年開催している研究発表会であり、そこで優れた口頭発表をした学生には優秀賞が贈られています。今年度は、審査対象となった18件の学生発表から3件が最優秀賞・優秀賞(2件)に選出されました。長鶴さんの発表が優秀賞に選ばれ、表彰状と記念品が贈呈されました。

発表内容について

題目

琵琶湖堆積物に存在する重金属元素の貧酸素状態における挙動

発表者

長鶴拓海、丸尾雅啓

概要

琵琶湖北湖では毎年冬季に起きていた水の全循環「琵琶湖の深呼吸」が起こらず、夏季に低下した湖底の酸素濃度が回復しない年が見られます。このような環境の変化により、生物相への影響が懸念されています。

本発表のもとになった研究では、琵琶湖の堆積物をそのまま柱状に採取して、堆積物の中に含まれる重金属など(マンガン、鉄、銅、亜鉛、ヒ素、カドミウム、鉛)の濃度の変化を深度ごとに測りました。また湖の堆積物の上に琵琶湖の水を入れて湖底と同じ温度で培養し、水中に酸素が十分にあるときと、酸素を含まないときでは、湖底上の水に堆積物から溶け出してくる元素の濃度がどう変わるか実験しました。

堆積物表面近くには特にマンガンとヒ素が高濃度で存在し、いったん溶け出してきたこれらの元素が酸素の影響を受けて再び固体になって沈殿、濃縮されていることがわかりました。培養実験の結果もこの事実を現しており、酸素がないとき、酸素があるときに溶けだしてきた金属濃度を比較すると、マンガン1.3倍、ヒ素約4倍、鉄も約4倍と、明らかに酸素がないときに多く溶けだすことがわかりました。なお、銅だけは逆に酸素があるときの方が約7倍高くなりました。

酸素濃度以外の要因についても今後考慮しながら培養を行っていくことで、湖底環境の変化についてさらに理解を深めることができると考えられます。

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