工学部機械システム工学科の栗田裕名誉教授、大浦靖典准教授、田中昂講師のグループが、2025年度日本機械学会関西支部賞(研究賞)を受賞しました

2026年4月8日

工学部機械システム工学科の栗田裕名誉教授、大浦靖典准教授、田中昂講師のグループが、「楕円振動を用いた微小部品の分別搬送」の研究で2025年度日本機械学会関西支部賞(研究賞)を受賞しました。本賞は、研究業績を通じて、関西支部地区の機械工学と機械工業の発展に貢献した個人、もしくは研究グループ(協同研究グループを含む)の功績に対し授与されるものです。栗田名誉教授は,1995年の開学当初に企業から大学に籍を移し,2017年に本学を退職されるまでの21年にわたり,機械力学の分野において研究を推進されました.本受賞は、振動搬送の研究で得られた革新的な成果が評価されたものです。

題目

楕円振動を用いた微小部品の分別搬送

受賞者

栗田裕(名誉教授)、大浦靖典(准教授)、田中昂(講師)

受賞内容の概要

物体が載った平面を、水平方向と垂直方向に同じ周波数で加振すると、物体は平面上を移動する(振動搬送)。水平振動と垂直振動の位相差が0°の場合、振動の軌跡は直線状になる(直線振動)。水平振動と垂直振動の位相差が0°以外の場合は、振動の軌跡は楕円状になる(楕円振動)。楕円振動を用いた振動搬送では、水平振動の大きさと垂直振動の大きさ、および2つの振動の位相差に依存して、物体の移動速度(搬送速度)が変化する。振動位相差が±90°付近で、搬送速度は最大となり、直線振動のときの数倍の値になる。

楕円振動搬送では、搬送速度が大きくなるだけでなく、搬送速度が0となる位相差(停止位相差)も存在する。停止位相差および搬送速度‐位相差特性は、物体の摩擦係数や跳躍の有無で変化する。停止位相差付近では、物体の表面と裏面の特性の差によって、物体を左右に分別搬送することが可能になる。申請者らはこれまでに、楕円振動機械を用いて、いくつかの機械部品や電子部品の分別搬送を実現した。しかし、表面と裏面の隙間が小さい微小な電子部品では、表面と裏面で跳躍の違いを生み出せず、分別搬送を実現できなかった。

本研究では、表裏の隙間の差が小さい微小部品でも、表裏の分別を可能にする駆動条件の探索に取り組んだ。まず、ある程度の大きさ(5G~13G)の水平振動を加えると、表面と裏面の跳躍限界に差が生じた(分別搬送が可能)。次に、駆動周波数を高くすると(300Hz~600Hz)、跳躍限界の差が広がるとともに、跳躍時の姿勢が安定した。また、分別搬送に適切な振動位相差は、水平振動の大きさと駆動周波数に依存して変化した(例えば、40°~60°)。以上、表裏の隙間の差が小さい微小部品の分別搬送には、大きな水平振動、高い駆動周波数、適切な振動位相差が必要であることがわかった。これらの結果を踏まえて設計された楕円振動の駆動条件を用いることで。表裏がランダムに配置された多数の微小部品の分別搬送を実現した。

これらの研究成果は、楕円振動を用いたパーツフィーダに部品の表裏を分別・整列させる機能を新たに付与することにつながるものであり、パーツフィーダの高機能化に寄与する。また、近年、部品の微小化が進む電子部品を用いた製品製造において、パーツフィーダ単体で部品の表裏分別・整列を実現することは製造コスト抑制につながる。