台湾留学レポート

地域文化学科 古川 裕樹さん

中興大学サマープログラム 

 7月14日から28日までの2週間、台中の中興大学で行われたサマープログラムに参加しました。中興大学の学生はみな英語が流暢で、親切に対応してくれました。プログラムの参加者は中国の学生が多く、彼らとの交流は、中国語の会話を練習する良い機会でした。宿舎で一緒になったルームメイトは、台北、湖北省、福建省、四川省など様々な地方の出身の学生でした。彼らは僕に中国各地の方言を教えてくれました。

 大学では「両岸経済文化議題」という講義と、「瘋台中」という講義に参加しました。

 「両岸経済文化議題」は、大陸と台湾の経済を比較し、それぞれの地域特性を知り、その特長を実際にどのようにビジネスに活かしていくかを考える、という内容でした。講義を担当される先生が毎日違うので、いつも新鮮な気持ちで講義に臨めました。主に中国語での講義のため、少し分かりにくいところもありましたが、聞き取れるところは極力聞き取って、毎回質問をするようにしました。

 「瘋台中」は、フィールドワークを中心にしたプログラムで、台中市内の都市計画を学びました。台中の街には、あちこちに日本統治時代の建物が残っており、そうした建物をみんなで見て回りました。例えば、台中駅の近くにある「台中文化創意產業園區」という区域では、昔の日本の酒造会社の工場だった建物が、新しく現代美術のギャラリーとして利用されていました。そこは近代的な建物と現代的な芸術作品が融合した不思議な場所でした。

 この他にも、台中にはユニークな野外彫刻が数多く設置されています。街を歩いていると、ぐるぐる回るオブジェや、顔のあるプリンのような作品など、面白いアート作品をたくさん見つけました(ちなみに台中の美術館では、ちょうど草間彌生の展覧会が開かれていました)。

 週末はフィールドトリップがあり、大学で知り合った人たちと一緒に鹿港や、日月潭といった観光地に行きました。映画「KANO」で有名な嘉義にも行きました。映画に関連した特設コーナーがあり、見どころが多かったです。

 サマープログラムが終わった後は、高雄、台南、屏東、三地門といった場所を旅行しました。いずれも特色があって思い出深い場所となりました。

≪言葉≫

 台湾人の中国語(國語)は、大陸とは少し発音が異なります。最初は少し違和感がありましたが、次第に聞き慣れました。台湾の漢字は簡体字ではなく、繁体字を使います。繁体字は画数が多いので、書くときは少し大変ですが、上手く書けるようになるとかっこいいです。台湾では、メールで文字を打つ時や、カラオケで曲を入れる時に注音符号という記号を使います(大陸ではピンインを使います)。この注音符号は、韓国のハングルのようなもので、台湾の子どもは、最初は注音符号から学ぶようです。

≪台湾の交通≫

 台湾の学生は、生活の中でよくバイクを使って移動します。私も二回ほどバイクの後ろに乗せてもらったことがありますが、風がビュンビュン通り過ぎて、蒸し暑い台湾では、気持ちがいいです。慣れれば、自転車や自動車よりも便利な乗り物だと思います。台湾では多くの学生が高校卒業と同時にバイクの免許を取得するそうです。

 客運(高速バス)は駅の近くに乗り場があり、台北から台中に移動する際に利用しました。台鐵(台湾鉄道)は切符を買ったらすぐ乗ることが出来ました。台中市内では、今年7月から「悠游卡」という交通カードを使えば、バスに乗っても10km以内なら無料になるというシステムが始まったそうで、ラッキーでした。台中市内では基本的にバスを利用していたので、タクシーを拾うことはあまりありませんでした。

≪夏の天候≫

 真夏の台湾は非常に暑く、水分補給は欠かせません(ただし水分を取り過ぎると逆に体がだるくなってしまうので注意が必要です)。台湾は台風が多いことで有名ですが、私が滞在していた時は台風に遭うことはありませんでした。8月に行った人たちは台風に遭遇したそうです。この時の台風の勢いはすごかったようで、強風で台北にあるポストが曲がってしまったほどでした。

≪コンビニ≫

 ファミリーマートやセブンイレブンが街の至る所にあり、非常に便利です。コンビニで買い物をすると、レシートが渡されます。そのレシートには宝くじがついており、発行されると、数字が印刷されて出てきます。二か月ごとに当選番号が発表されるようです。もし台湾に長期滞在するのなら集めておくといいかもしれません。コンビニ店内では、茶葉蛋(茶葉で煮た、日本のゆで卵と違った味の卵)が売られていて、買うときは自分で袋に入れてレジまでもっていくようになっていました。お店には日本の商品もたくさん売られているので、台湾で生活する上で不便を感じることはなかったです。

≪食べ物≫

 台湾の食べ物はバリエーションが豊富で、どれも日本人の口に合います。スイカジュース、パパイヤミルク、豆花、蝦捲、蛋餅、魯肉飯、牛肉麺、臭豆腐、肉圓など、美味しかった食べ物は数えればきりがありません。夜市に行くと、毎回何を食べようか迷ってしまいます。

 夏はフルーツが安く売られています。特に甘くて美味しいマンゴーは、かき氷のトッピングによく使われます。このマンゴーかき氷があまりに美味しかったので、台湾に滞在中、5回以上も食べてしまいました(量が多いので、一人で食べきるのは大変でしたが)。

 夜市では、たくさんの地元の人でにぎわっている店に並んでみると、美味しい食べ物に巡り合うことができます。もし台湾の小吃を存分に楽しみたいなら、台南の夜市に行ってみるのがおすすめです。

≪外国語でのコミュニケーション≫

 外国語を使ってコミュニケーションをとる際に、大事だなと思ったことを書きます。中国語を母語としている人同士の会話についていくのは、はっきり言ってとても困難です。最初は慣れないので会話をしていて、とても疲れます。けれど、会話力、交渉力の上達のためには、疑問に思ったことはすぐ聞いて、単語の意味が分からなければ分かるまで繰り返し質問することです。本当に分かったとき以外は安易に「OK」と答えないことが大切です。返事をするときは「イエス」「ノー」をはっきりさせて、なるべくシンプルに答えないと相手が困惑します。事前に短い会話表現を繰り返し練習しておくと便利です。

 留学中は、自分の言いたいことを遠慮したり、「相手はどう思うか」などは考えたりしない方がいいと思います。時には、語彙力が足りなくて、言いたいことの半分も言えなかったりしますが、少しずつ上達していくはずです。海外では、自分から積極的に意見を主張しないと、不利な立場に陥る場合が多いので、何かしら積極的に発信することが大切だと思いました。

中興大学の正門
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鹿港天后宫
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三地門での台湾原住民のショー
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高雄のMRT(捷運)の美麗島駅にある光之穹頂
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