ドイツ留学レポート

国際コミュニケーション学科 浅野 由美さん

アウクスブルク大学

 留学して3カ月が経ちました。もう100日経ったことに驚いています。気づけば留学期間のほぼ3分の1が過ぎていました。12月は11月に比べ、様々な出来事がありました。ドイツでは犬がとても大切にされていると聞いていました。確かに、店内にも大学内でもよく犬を見かけます。狭い売店のカーペットの真ん中で寝転んでいたりします。店外に犬を待たせる場合、リードを縛り付けておく用のでっぱりが店の壁に付いていることもあります。リードを犬に使わないと聞いていたのですが、今のところリードを使っている人しか見かけていません。日本で聞いていたことを、聞いた通りだ、または、聞いていたのと少し違う、と感じたり出来るのは現地にいるからこそだと思います。

 それから、皆がプレゼントの送り合いをするクリスマスシーズンの国際郵送の遅さを思い知りました。日本から荷物が届いたのは、国際スピード郵便を利用したにも関わらず発送から一カ月後でした。他には、タンデムパートナーの家でカツ丼を作ったりもしました。勝つ(カツ)という言葉から、試験前にカツ丼を食べる人がいる、など日本の説明をして伝わったときは本当に嬉しいです。食べた後は、日本でも人気のテレビゲームをしました。友達とご飯を食べ、その後このゲームをすることは、日本の大学生の間でもお馴染のことでしたので、ドイツでも同じことをしているのが何だかおかしく感じました。さらに、髭を生やしたパートナーがバイトから帰ってくるなりビールを飲み、パートナーの彼女がカツ丼を用意する姿を見て日本の家庭が頭に浮かび、ここは日本かと突っ込みを入れたくなりました。

 そして、12月で一番印象に残ったことは、何といってもクリスマスからお正月にかけてのホームステイです。本当にホームステイをして良かったです。気づけば写真は200枚以上撮っていました。私が行った家は、ドュッセルドルフのシュベルンという街にあり、母のカーラ、姉のアレクサンドラ(11歳)、妹のマリエラ(8歳)の三人暮らしでした。会う前は仲良くなれるか不安でしたが、三人とも私が理解できるようゆっくり丁寧に話してくれ、すぐに打ち解けることができ、とても助かりました。

 カトリックの一家であったため、何度か教会に行きましたが、私は仏教徒であるのに教会に行ってもいいのだろうかと常に疑問を抱いていました。もし私が心から仏教を信仰していたならば行かないだろうと思います。日本人は私のような人が大半だと思います。カーラから、日本の宗教についての説明を求められたとき、カツ丼のときのように上手くはいかず、当たり障りのない説明しかできませんでした。最終的に私は「日本人は仏教の行事を行うが、それが宗教だと意識していないし、その行事の意味を教わる機会が少ないと思う。」と言いました。宗教の説明が出来なかった原因は、私の言語能力以外にもここにあるのではないかと思います。日本の宗教意識について考えさせられた一コマでした。

 クリスマスやお正月は親戚や友人を訪ねたり、逆に訪ねてきたりしたので、たくさんの人と出会いました。皆本当に親切な方ばかりで、私の分までクリスマスプレゼントを用意してくれていました。スペイン、モンゴル、ギリシャ、シリアなどの様々な国の人たちでした。留学前に欧米文化論Aで習った、ドイツは5人に一人が移民の背景を持つという事を思い出しました。他には、ライブ、スケート、映画、ケルン大聖堂、チョコレート博物館や街中などの様々なところへ連れていってもらい、毎日疲れましたがとても楽しく、充実していました。

 私は普段出かけることが少なかったので、ここにきて一気に色んなことを経験し、ドイツという国の一部分を体感できたのではないかと思います。夕飯の後は家族で一つの部屋に集まり、ほんのり明るい照明の中でテレビを見ます。その落ち着いた雰囲気の中、まるで自分の家にいるようにくつろいでいました。こんなの小学生のとき以来ですし、私は一人暮らしをしてもうすぐ三年が経ちますので、ドイツがどうとかよりも先に家庭のぬくもりを感じました。ご飯は用意され、休日は家族で出かけ、夜はゆったり過ごし、本当に居心地が良かったです。

 私はドイツ人が大切にしている、Gemütlichkeit(居心地の良さ)という感覚に興味を持っているため、カーラに「ドイツの人は居心地の良さを大切にしているのか。」と尋ねてみたところ、「大切だが最近では仕事が大変であり、時間に追われているからGemütlichkeitがあまりない」とのことでした。思っていた答えではありませんでした。一つ疑問に思っていることがあります。教会を出た後カーラが、「居心地の良さはどうだった?感じた?」と尋ねてきましたが、正直何故教会で居心地の良さを感じるのか分かりません。牧師らしき人が前で何度かGemütlichkeit(居心地の良さ)と言っていたのでそのことかもしれません。それとも、日本とドイツでは居心地の良さの認識が違うのでしょうか。一家に感謝を込めて、日本からのお土産を渡したり、親子丼を作ったり、折り紙を教えたりしました。子供たちは玉ねぎが苦手だったらしく、親子丼は気にいってくれませんでしたが、折り紙に関しては、Cooooool!!と言ってくれ、大好評でした。子供たちは非常に元気で、夢中になって色んな遊びを一緒にしました。一家は、感謝しきれないほど私に良くしてくれました。日本に帰る前にもう一度会うことを約束しました。ここには書ききれないほど、たくさんのことを感じた素敵な日々でした。

ホームステイ先1
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