オーストラリア体験レポート

国際コミュニケーション学科  田中 穂乃香さん

オーストラリア シドニー工科大学

ついに、九か月間のオーストラリアでの留学生活が終わりました。今月は学校以外での振り返りをしたいと思います。今年の二月末にシドニーへと到着し、その時感じた海外での生活への期待や不安を今でも忘れません。海外に行くとなると、よく食べ物や水が合わない、言葉の壁を感じるなどという困難をよく耳にします。生活環境や食事については、まったくと言っていいほど問題ありせんでしたが、自分とは違う言語、文化をもった人との共同生活やコミュニケーションは、最初の数か月はとても難しいものでした。オーストラリア、特に英語圏では自分の気持ちをはっきりと口にして意見を伝えることが大切なことの一つなので、自分のつたない英語では自分の意見をうまく表現することができず、あまり話さなくていいように人と出会いたくないと思っていました。3月から学校が始まり、またJASSというオーストラリアの学生と日本人学生の交流をサポートするクラブに入ってからは、留学生活が一気に楽しいものとなりました。JASSのメンバーの学生は日本語が喋れたり、日本の文化が好きだったりするので、自分のしゃべる言葉をほかの人より理解してくれたり、自分の話に興味を持ってくれる人が多いです。そこから生まれる安心感から、もっといろんな人と話してみたいと思うようになり、毎回のイベントに参加して少しずつ友達を増やしていきました。冬休み、後期になると、前期でできた友達とより仲が深まり、一緒に晩御飯を作ったり、シドニー市内、市外で行きたいところに一緒に遊びに行ったりととても楽しい時間を過ごしました。食事は、日本人の交換留学生とも、全員が一人暮らしということもあり、みんなで一緒にご飯をつくるようなことも多かったです。ローカルの友達には、カレーやお鍋など、日本食を作ってあげたりすることもありました。みんな喜んで楽しんでくれたのでよかったです。ご飯を食べた後にはいつもゲームを一緒にしていたのですが、その時間は留学生活の中で一番といってもいいほど好きな時間でした。普通に遊びに行くのとは別に、オーストラリアと国内をたくさん旅行しました。メルボルン、パース、ゴールドコーストなど、とくに有名な市を観光し、シドニーとは違う街並みや雰囲気を楽しむことができました。たくさんの場所に旅行に行きましたが、自分の中ではやはりシドニーが一番お気に入りの場所だと思います。多様な文化、人種が混ざり合うことでできたシドニーの街は、暮らすうえで自分の居場所を見つけやすく居心地がいいです。シドニーのみならず、オーストラリアには先ほど述べたように多様な文化が混ざり合っています。例えば、オーストラリアで生まれ育っていたとしても、バックグラウンドは中国系だったり、他のアジアやヨーロッパの国だったり、ハーフだったりと、一言で言い表せる人種や文化がありません。それがオーストラリアという国を豊かにしているカギであり、私がこの留学生活で学んだことでもあります。私は、日本で生まれ育った日本人ですが、友達を作ったり友達と遊んだりする中でそんなことを気にする人はいません。自分の国籍はただ自分がどの国に属するかを決めるだけのものであり、自分が何者かを決めるものではありません。自分が持つ文化は、自分という存在を支えてくれる、自分が今まで生きてきた証です。一人一人が違う文化をもち、それはお互いから尊敬されるべきものであり、しかしそれだけでその人がどういう人か決めるには、個人の性格や人柄も見る必要があります。シドニーで、本当の意味でも多様性について学べたと思います。この九か月間で得たことは、これからの何十年間という自分の長い人生を確実に変えてくれるきっかけとなると思います。向こうでできた友達をこれからも大切にするとともに、もっとたくさんのことに挑戦していきたいと思います。

Australia National Park Melbourne, Great Ocean Road

Sunrise in AUS