アメリカ留学レポート

国際コミュニケーション学科  出口 絵理さん

アメリカ カリフォルニア州立大学モントレーベイ校

 カルフォルニア州立大学モントレーベイに来てから早くも1ヶ月が経ちました。随分とアメリカの生活には慣れてきましたが、心に余裕が出てきた分物事を深く考えたり、観察したりすることが増えました。

 今回はアメリカでの授業の話をしたいと思います。今学期はJapanese Mind、Tourism、Pre-capstone、Aerobicsの授業を取っています。それに加えてJapanese Languageのアシスタントをしています。Japanese Mindは日本の精神を英語で学ぶ授業で、クラスにいるアメリカ人の生徒達は日本に留学経験あるか、日本に興味のある人たちばかりです。授業中に、先生が頻繁に質問を生徒に投げかけるのでみんな積極的に手をあげて意見を言います。アメリカ人だけではなく私と同じ様に日本からやって来た留学生も積極的に手を挙げて意見を言うので、私も積極的に手をあげて意見を言うようにしています。日本ではそもそも意見を言う機会というものがあまり無かった上に、私はどうしても授業中に意見を言うことに消極的でした。しかしここに来て授業中に意見を言う事で、授業の内容がより濃いものになることに気づき、今では自分の意見を授業で積極的に言うようにしています。またアメリカの大学では授業の「参加」が成績評価の対象に入っています。日本では出席カードを提出すれば授業に「参加」したことになりますが、アメリカではただ席に座っているだけでは「参加」になりません。生徒が授業でなにかしら発言し、授業と関わることで授業参加になります。ここに日本とアメリカの大学の違いがみられます。また毎回グループディスカッションがあり、アメリカ人の学生と日本の精神、文化について話し合うことでアメリカ人から見た日本の姿を知ることができます。

 Tourismの授業は First year seminarのうちの一つなので、授業にいる生徒はみんなFreshmenです。しかしこの授業の生徒の留学生への対応はJapanese Mindの生徒とは大いに異なります。Japanese Mindのアメリカの生徒は先ほど述べたように日本に興味があり、日本で留学を経験した人も沢山いることもあって、日本からの留学生にとても親切です。私が英語で発言すると、相槌をうちながら真剣に聞いてくれたり、うまく英語で言いたい事が説明できない時は逆に私が説明しやすいように質問してくれたりします。又アメリカ人の学生も日本の文化などの知識があり、日本人の私にとって英語でディスカッションしやすい環境にあります。一方Tourismでの授業はそれとは環境が大いに異なります。この授業ではアメリカの生徒は日本人に興味もなく、Freshmenなので今まで留学生とあまり関わったことがありません。また当たり前に私をアメリカ人と対等に扱うので、容赦ないスピードの英語で繰り広げられるグループディスカッションでも私に当然のように意見を求めて来ます。私はこの授業環境を非常に「リアル」なアメリカの授業を体験出来るものだと感じています。自分なりに毎回グループディスカッションでは必死に話に入ろうと食らいついています。しかし先日Tourismの授業で、ランダムに決められた4人ずつでグループを作り、テストを受けるというものがあり、私はそこで精神的に辛い時間を過ごすことになりました。グループで得たテストの評価がメンバーの個人の成績評価に加算されるというものだったので、良いスコアを得るためにはグループのメンバーで協力しなければなりませんでした。私はまだ未熟な英語力のせいでグループの足を引っ張ってしまうのではないかと内心おびえていました。グループテストの課題についてのディスカッションが始まると、最初の方はやはり話にうまく入ることが出来ませんでした。みんなが話していることは十分理解できるのですが、中々グループ内で自分の意見を言う事、話の「輪」に入ることが出来ません。会話に入れない間、私はひたすら自分と対峙していました。「輪」に入れないのは自分の英語力が足りないのはもちろん、それ以外にも自分自身の積極性に問題があるのだろうか、意見を人前で主張、提示することに慣れていないからだろうか、母語ではない会話に参加する事に強い緊張を感じているからだろうか。頭の中で色んな思いが交錯していました。全部が原因であるように思えますが、実のところ今でもなぜなのかはっきりとした答えは分かりません。しかし確かなことは、今私は自分の英語に十分な自信を持てていないということです。Japanese Mindの授業では積極的に発言できるのに、Tourismの授業では発言に対して強いためらいが出てしまう。これは自分の英語に自信が持てていないことが原因で、助けてくれる人がいない、「甘えられない環境」では英語での発言に消極的になってしまうということです。ディスカッションの後半では、自分が情けなく、このままではこの教室に自分がいる意味が全くないと思い、決死の覚悟でディスカッションの輪に入り発言をしたり、授業で手を挙げて発言をしたりしました。すると実際発言してみると自分の中で達成感が感じられただけではなく、クラスのみんなが自分の発言に関心を傾けてくれている事を感じました。なんだか自分の壁が一つ破れた気がしました。

 今の授業における目標はCritical thinkingをすることです。アメリカの授業ではCritical thinkingを頻繁におこないます。日本人の学生はこれが苦手だと言われていますが、私も今考えてみると日本での日々の授業でCritical thinking をあまりしていなかったことに気付き、またここに来てその重要性に気付きました。Critical thinkingを行う事で、物事の新たな一面を発見する事が出来るだけでなく、これはディベートでは欠かせないものになってきます。深い次元で物事を考察することは多くの疑問を生み出し、これは授業での質問、意見などの発言につながっていきます。私はこのことを日本の大学の授業で随分と怠ってきたと気づきました。

 以上のことがここ最近、授業を通して気付いたことです。これから先も授業を通して様々な壁にぶつかると思います。しかし自分がなんの為にここアメリカで授業を受けているのか、自分に問うて真摯に向き合いたいと思います。

鬼門だったTourismの授業でとても仲良くなった友達と
鬼門だったTourismの授業で
とても仲良くなった友達と
9.11にキャンパス内に追悼の意味を込めて亡くなった人数分だけ準備されたアメリカ国旗
9.11にキャンパス内に追悼の意味を込めて亡くなった人数分だけ準備されたアメリカ国旗

大学から車で30分ほどのところにあるPebble Beach
大学から車で30分ほどのところにあるPebble Beach