開学20周年記念式典学長式辞

開学20周年記念式典学長式辞

 本日ここに、三日月大造滋賀県知事を始め、ご来賓の方々、ならびに多くの関係者の皆様をお迎えして、滋賀県立大学開学20周年記念式典が挙行できますことは、本学にとりまして誠に大きな慶びであります。

 滋賀県立大学は、平成7年4月に、それまで彦根市と草津市に分かれていた滋賀県立短期大学を、彦根市八坂町のこの地に一つにまとめて、4年生総合大学として開学しました。

 豊かな自然と、優れた景観と、静かな集落のたたずまいに、見事に調和したこのキャンパスは、本学の全授業に共通する「環境と人間の調和を考える」というテーマに、誠に相応しい場所であります。またキャンパスが一つであるために、学生は学部を越えて伴に学び、一緒に課外活動を行い、大学運営も全学一体で行えております。

 教育に適したこの地に、キャンパスを一つにまとめられた滋賀県ならびに開学関係者の卓見に敬意を払うものであります。

 滋賀県立大学は、開学当初は、3学部1短期大学部で始まりました。20年を経た現在、環境科学部、工学部、人間文化学部、人間看護学部の4学部、13学科と、4つの大学院研究科に、2800余名の学生が学ぶ大学となりました。この間に世に送り出した学部卒業生と大学院修了生は、合わせて1万名に達しました。

 さて本学の建学理念は、「地域に根ざし、地域に学び、地域に貢献すること」です。この理念は平成18年4月に法人化した後も、本学の教育、研究、社会貢献のあらゆる活動の中に生き続けております。

 教育においては、琵琶湖と県下全域をフィールドにし、各地の皆様に学びながら、さまざまな課題に向きあってきました。これを授業や、「近江楽座」などの課外活動に採入れ、課題の理解力と思考力を鍛え、人との繋がりを学び、人間性を豊かにする重要な機会としてきました。県内各地で、学生たちを受け入れ、指導し、励ましてこられました皆様に、改めてお礼申し上げあげます。

 本学の研究レベルを見ますと、目安とされる日本学術振興会の科学研究費補助金の採択においては、本学は全国86公立大学の中の、15,6番目に着けるところまできました。本学の上には、医学系・薬学系大学や大規模大学がありますが、本学としてはさらに一段の実力アップに努めております。また大型の組織的研究では、文部科学省、環境省、JSTなどの大型共同研究に採択されるようになりました。現在、エネルギーの地産地消や琵琶湖の水草利用など、本学らしい大型研究に、産官学共同研究として取組んでおります。

 一方、本学の社会貢献の分野では、建学理念に導かれて、開学当初から幅広い活動を行ってきました。最近では、地域の環境保全や地域おこしリーダーの養成を推進し、この実績を基に、文部科学省の「地(知)の拠点整備事業」のような地域連携事業に採択されるレベルまできました。これらの活動の推進には、滋賀県をはじめ近隣の市や町に大きなお力添えをいただいてきました。改めて深く感謝申し上げます。

 さてこれからの社会貢献分野では、地方創生につながる地域の再生・活性化の取組みや、若者の地域への就職・定着を促す取組みが大変重要になってきます。本学は、自治体との連携は勿論、県内の企業・事業所、支援団体、大学間の連携をさらに強めつつ、学内においては取組み体制を固め、ガバナンスを明確にし、コンプライアンス意識の向上を図りながら、地方創生、地域の再生・活性化に大学をあげて取組む所存です。

 今、県内では、企業の海外展開や国際的な取引が進み、行政、教育、看護、観光の現場では海外からの人々への対応が増えています。地域の国際化は確実に進行しております。本学も「大学の国際化」に力を入れ、新学科をつくり、また全学の教育レベルを引き上げ、思考力を鍛え、あわせて留学など海外での学習を拡大してきました。海外学習に関しては、現在、入学者600余名のうちの93名、率にして15%の学生が海外学習を経験するところまできました。これを数年内に、180名、30%にまで倍増したいと考えています。

 本学はこれから、地域で活躍する卒業生を増やすとともに、国際的に通用する学識と実践力を備えた男性・女性を世に送って、規模と質の両面で、社会貢献・地域貢献を果たしていく所存です。またこれを通して、滋賀県立大学が「選ばれる大学」「満足度の高い大学」「誇れる大学」としての評価を高めるべく努力を続けて参ります。

 開学20周年を機に、これまで長年にわたって本学の発展にご尽力いただいた各界、各地域の皆様に深甚の謝意を表するとともに、皆様の引き続いてのご支援ご協力をお願い申し上げまして、式辞といたします。

平成27年6月6日

滋賀県立大学理事長/学長  大田啓一