滋賀県立大学 研究シーズ発表会を開催しました

2020年12月23日

  滋賀県立大学では、教育、研究に加えて社会貢献を柱に掲げ、積極的に産学連携を進めています。企業・関係団体との交流を図り、共同研究・連携を更に発展させるために、令和2年11月25日に、「令和2年度 滋賀県立大学 研究シーズ発表会」を滋賀県大津合同庁舎・7階会議室で開催しました。

  今年度のシーズ発表会は、県大Techサロン「情報応用サロン」の5分野(ネットワーク情報工学分野・電子回路分野・有機環境材料分野・メカトロニクス研究分野・知識情報工学分野)から5名の教員による研究シーズを発表しました。県内外の企業関係者を中心に41名の参加をいただき、基礎から実用化に関する多くの熱心な質疑が交わされました。

1. ネットワーク情報工学分野  「スマート社会を支える信号処理応用技術」​

  工学部電子システム工学科の宮城准教授が、「嚥下評価システムの実現に向けた試み」と「厨房作業の効率の見える化」の二つの例を発表しました。嚥下評価システムを咽喉マイクと深度カメラで安価に構成し、機械学習による嚥下音判別の精度向上と画像解析から嚥下時間の検出が可能になったこと、実店舗の厨房での腰曲げ動作を市販センサと自作ソフトウェアにより検出し、腰曲げ動作と入客数や店舗間の回帰分析から作業の効率が見える化できたことが紹介されました。

2. 電子回路分野  「非接触生体センシングとその応用」

  工学部電子システム工学科の井上講師が、保育、介護、セルフケアにおける非接触の生体センシングの意義を説明し、非接触マイクロ波センサについて脈波センサとの比較、ビームステアリング、ビームフォーミングによる多地点のセンシングと実験データの発表を行い、今後の可能性と課題が紹介されました。

3. 有機環境材料分野  「多環式芳香族分子の合成と光・電子材料への展開」

  工学部材料科学科の北村教授が、光と電子に関わる有機材料となるベンゼンが複数つながった多環式芳香族分子の開発について発表を行い、アントラキノン化合物の溶媒や金属イオンによる色の変化、テトラセン誘導体の構造と発光や半導体特性の関係を報告されました。課題であったテトラセン誘導体の光耐久性は新誘導体で向上し、有機半導体としての応用に期待されることが紹介されました。

4. メカトロニクス研究分野  「ゲルを使った柔らかいロボット」

  工学部機械システム工学科の山野准教授が、形状記憶ゲルを応用したロボットについて発表を行い、形状記憶ゲルの作り方、「柔らかい⇔硬い」切替を活かしたロボット指・手首、型取りを利用した把持治具、形状可変なロボットハンド、ワイヤ駆動型のゲルロボットハンドなどが紹介されました。 

5. 知能情報工学分野  「テキストデータ分析による意思決定」

  工学部電子システム工学科の砂山教授が、データ分析への誤解とデータ分析による実際の意思決定プロセスの概要、データサイエンティストの要件と必要な知識・スキル、ならびにデータ分析に必要な推論を説明され、テキストデータマイニングのフリーソフトTETDMの使用実例を紹介されました。

  最後に名刺交換会を開き、企業関係者を中心とした参加者と本学教員との交流を図りました。

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