博士前期課程

環境科学研究科(博士前期課程)の人材養成目的と3つの方針

●環境動態学専攻
・人材の養成に関する目的・アドミッションポリシー・カリキュラムポリシー・ディプロマポリシー
●環境計画学専攻
・人材の養成に関する目的・アドミッションポリシー・カリキュラムポリシー・ディプロマポリシー

研究科の構成

 環境問題は近年、複雑化、多様化の度合いを強めており、人類社会の将来が懸念されている。この懸念から、人類の持続的生存と発展を可能にする環境と調和した社会の創造と、それを支える環境科学の進歩、ならびにそれらを担う専門家の育成が強く求められている。滋賀県立大学大学院環境科学研究科は、この社会的要請に応えるため、平成7年に発足した滋賀県立大学環境科学部を基礎に、ユニークな教育・研究システムにより環境科学についての高度な学際的な教育・研究を進める大学院研究科であり、平成11年4月に発足した。
 本研究科では、環境についての総合的理解の上に、自然環境の動態解明と環境管理および環境計画にかかわる各専門領域について高度な専門的知識と技術を備えた研究者と職業人の育成にあたるとともに、学術研究の推進を図る。関連専門領域についての重点的な教育・研究を実現するため、本研究科は環境動態学専攻と環境計画学専攻の2専攻で構成する。

環境動態学専攻

 本専攻は、自然生態系と農林水産生態系について、人間活動や気候など環境の変化に対する生態系の動態(生態系と自然環境の構造、量、速度とそれら相互関係の変化)を解明し、自然環境ならびに生物生産環境の保全と管理の方策について教育研究を進める。専門分野に対応する教育課程は、地圏・水環境領域と環境化学領域からなる生物圏環境研究部門、陸域生態系領域と水域生態系領域からなる生態系保全研究部門、生物生産領域からなる生物生産研究部門の3研究部門で構成する。
 生物圏環境研究部門は、生物圏の構成要素としての地形、水、堆積物について、地球環境、地域環境との関連において、その動態を究明するとともに、生物の生存と分布を支配する要因としての環境諸特性を研究し、生態系保全および生物生産の基礎条件を解明するとともに、持続可能な生物圏環境の創出をめざす。地圏環境、水資源・水環境、環境化学・植物栄養の3つの研究領域で構成する。
 生態系保全研究部門は、湖沼や海洋など水圏生態系、田畑や森林など陸圏生態系、そして陸圏と水圏をつなぐ集水域生態系について、人間活動による生物群集や種間相互作用、あるいは物質循環の変化などを通して生態系の動態を解明するとともに、生態系保全に必要な管理のあり方と環境影響の定量的評価手法の確立をめざす。水圏生態系動態、陸圏生態系動態、集水域環境動態の3つの研究領域で構成する。
 生物生産研究部門は、農林水産生態系における動植物資源の生産において、環境への負荷の最小化を図りながら、高い生物生産性を維持しうる諸条件の究明を図るとともに、持続的な生物資源生産を可能にする高度の技術と方法論確立をめざす植物遺伝資源、植物資源管理、動物資源管理、生産環境管理の4つの研究領域で構成する。

研究領域の研究内容と担当教員

○ 生物圏環境研究部門 ○ 生態系保全研究部門 ○ 生物生産研究部門

環境計画学専攻

 本専攻は、自然環境とバランスのとれた人間社会の提案とその持続的発展をめざし、人間環境デザインと地域社会システムの計画を対象とした研究をおこなう。人間環境デザインを主に対象とする環境意匠研究部門と地域社会システムの計画を主な対象とする地域環境経営研究部門の2研究部門を設け、本専攻を構成する。
 環境意匠研究部門は、自然環境、社会環境と調和した都市及び地域の計画手法の研究ならびに建築空間およびランドスケープ空間の創造手法の研究をテーマとし、他分野との連携を図りながら、総合的な研究教育を推進する。この目的を達成するために、環境意匠研究部門は、デザイン領域(コミュニティ・建築デザイン、都市建築デザイン、ランドスケープデザイン)、歴史・理論領域(環境設計理論・アジア都市建築史、建築空間デザイン・理論、建築史、建築空間・意匠論)、計画領域(地域空間計画、都市空間デザイン・都市建築史、生活空間計画)、エンジニアリング領域(建築構造デザイン、建築構造、居住環境工学)、以上4領域、13専門分野で構成する。
 地域環境経営研究部門は、持続的な資源利用と地域経営、環境保全を可能にする地域社会を探り、それを可能にする環境マネジメントおよび環境政策のための計画、監視、評価、参加手法について研究する。このために、環境システム、資源・環境経済および環境政策の3つの領域を設け、社会科学から工学にわたる学問領域からの知識の継承と発展を視野に置いている。

研究領域の研究内容と担当教員

○ 環境意匠研究部門 ○ 地域環境経営研究部門

教育研究の特色

 本研究科は、自然環境と調和した人間社会の建設に必要とされる高度な研究者と職業人を育てるため、地域の自然環境と人間社会の有機的連関や動態の総合的理解のうえに、問題解決のための学理と技術について教育・研究を進める。また、環境問題は多様であり、狭い専門領域の学問体系では対応できない。本研究科は、学生の研究課題に即して選任された専攻の主指導教員と、その研究遂行に必要な副指導教員(同一専攻や他専攻、または他研究科の教員や滋賀県の研究機関の有資格研究員)からなるコミティによる学生指導を行い、多様な環境問題に対応し得る人材を育成する。学生は、入学時に研究領域とともに主指導教員を決める。主指導教員は、副指導教員と連携し修学と演習の指導、ならびに修士論文の作成指導を行う。学生の標準修業年限は2年とし、必修(環境動態学専攻18単位、環境計画学専攻環境意匠研究部門16単位、環境計画学専攻地域環境経営研究部門12単位)を含む30単位を修得後、修士論文の審査および最終試験に合格したものに、修士(環境科学)の学位を与える。