平成27年 新年のご挨拶<教職員向け>

平成27年 新年のご挨拶 (教職員向け)

 教職員の皆様、明けましておめでとうございます。
 年の初めにあたり、ご挨拶申し上げます。

 この数年間、なかでも安倍政権になってからのこの2年間、教育界に対する提言や注文が一段と増えてきました。自民党内の教育再生実行本部、首相の私的諮問機関である教育再生実行会議、それに中教審も加わって急ピッチで議論が進められ、文科省はその結果を次々と政策化してきました。
 大学教育については、その矛先は私立大学を微妙にかわしながら主に国立大学に向けられ、大幅な大学改革が迫られています。大学改革では先ず大学・学部の使命を明確にすること、「ミッションの再定義」といっていますが、これが求められています。
 これまで自分たちのミッションをあまり意識してこなかった国立大学にはきつい注文ですが、公立大学にとってはほとんど問題になりません。というのは、公立大学はもともと地域のニーズに応じて作られていますので、建学の理念においてミッションが明らかにされているからです。

 ミッションの明確化、言い換えれば、何のためにそこに存在するのかを明示することですが、これは大学のみならず、個人にとっても、組織にとっても、企業にとっても、大変大事であるという話を最近何人かの方から聞きました。
 たとえば、地域イノベーション事業の研究報告会に来ていただいた(株)クロスエフェクト(3Dプリンターで心臓模型を作製)の竹田正俊社長、本学のキャリアデザイン教育「社長講義」に来ていただいた(株)高橋金属(長浜市にあって本学工学部支援会員)の高橋康之社長、また昨年最後の琵琶湖塾に来ていただいた(株)マザーハウス(バングラデシュで鞄を生産)の山口絵里子社長、の皆さんがたです。
 特に高橋社長は、本学の学生に対して、就活では何のためにこの職業を選ぶのか、就職してからは何のために働いているのか、リーダーとなったら事業所は何のために存在しているのかを、はっきりさせておかねばならないと語っておられました。ミッションの強い自覚ということです。

 さて本学のミッションは皆様ご承知のように、滋賀県における知の拠点として地域社会に貢献することです。このミッションに沿って開学以来、着実に実績を積み重ねてきました。その実績を基にしたプログラムは、2013年度の文科省「地(知)の拠点整備事業」(COC)に採択されました。
 本学はCOCプログラムの中で、地域志向教育と地域社会連携の両面での活動を続けていきます。これを通して学生は社会を変えていく力を養い、本学教職員ならびに地域の活動家と一緒になって地域課題の解決に取組み、地域の再生や活性化に貢献することを目指します。このような活動には、大都市に比べて高齢化、過疎化、荒廃が顕著になりつつある地方の自治体から大変大きな期待が寄せられています。

 政府主導の地方創生の機運を背景に、ミッションの再定義を求められた国立大学の中には地域の拠点化を目指すところもでてきており、多くの公立大学と一部の私立大学も合わせると地域貢献型大学はかなりの数に上ります。これらの大学がネットワークを形成し、情報交換しながら地域の人々と連携して地域再生に取組むことになれば、それはかなりの効果が期待できるはずです。
 本学はそのような組織化のための労を取りながら、自らも地域貢献型大学のモデルとなって、地域再生・活性化を進めていくことを目指したいと思います。そのためにはどうすればいいか、皆様にはこれについて大いに議論され、実践に結び付けていただきたく思います。

 皆様のご健勝とご活躍をお祈りして、新年のご挨拶といたします。

 2015年元旦

公立大学法人滋賀県立大学
理事長/学長 大田 啓一