平成27年度滋賀県立大学大学院学位記授与式式辞(2016/03/21)

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平成27年度滋賀県立大学大学院学位記授与式式辞

 本日ここに、平成27年度滋賀県立大学大学院学位記授与式を挙行し、新進気鋭の学位取得者の栄誉を称える機会を得られたことは、本学にとって誠に大きな慶びであります。

 博士号ならびに修士号の学位を取得された皆さん、おめでとうございます。

 皆さんを指導し、また物心両面で支えてこられた関係者各位に、心からお祝い申し上げます。

 博士号取得者の皆さんはこれにより、独立研究者としての資格が認められたことになります。

 独立研究者とは、自分の力で独創的な研究テーマを設定することができ、研究資金の獲得を含めて自分の力で研究を遂行でき、自分の責任において研究成果を公表できる能力を持った人のことをいいます。

 この能力の中で、成果の公表については、テーマ設定や研究遂行に比べて軽んじられがちですが、それは正しくありません。研究成果の公表がなければ、研究そのものが存在しなかったとみられてしまうからです。

 研究成果を世界へ発信するという点で、今日、英語での公表が期待されています。今後とも一層努力していただきたいと思います。

 博士号取得者の皆さんが実感されているように、学位取得までの努力は並大抵ではありません。おまけに取得後に歩む道も、特にわが国おいては決して楽なものではありません。多くの苦労が待っています。

 今日、ポスドクの扱いに関して改善の兆しはあるものの、楽観はできません。しかし皆さんには、研究への情熱と業績の蓄積は、これからも是非とも維持していただきたいと思います。

 修士号取得者の皆さんには、大学院研究科・専攻における課程を終えて、高度職業人としての能力を獲得したことが、認められたことになります。

 ここにいう高度職業人とは、ある専門分野における最新の知識と技術、ならびに高い学識を身につけていている人を指しています。大学院の課程に備わっている組織的な学習体系と、実践的な研究プログラムと、厳格な審査基準がそれを証明するものとなっています。

 したがって修士号取得者には、職業現場における即戦力としての働きが期待されています。それ故に、皆さんが職場での勤務を始めたその日から、職場には大きな期待があるものと、自覚しておくべきです。

 世界的に急速な勢いで進んでいる技術革新のなかで、修士号取得者は増えています。わが国においても増加傾向にあります。それだけ技術の開発、応用、普及の分野において、その能力が評価されていることがわかります。

 さて、博士号取得者も修士号取得者も明確な専門性を有しています。しかしその明確な専門性のために、視野が狭くなってはなりません。この先、国内における技術刷新や、諸外国における研究開発の動向の影響を受けて、皆さんが従事する研究開発の方向や、求められる成果は変わっていきます。その動きに臨機応変に対応していく必要があります。どうぞ広い視野を持って、異なった視点や観点からの考察を忘れないでください。

 博士号と修士号を取得された皆さんは、これからは本学の研究推進における頼もしい仲間です。研究仲間として、本学の教員ならびに研究員と情報交換、研究交流、さらには共同研究に関わっていただきたいと思います。

 本学は学内での研究を進める一方、産業界や事業現場あるいは行政との連携を幅広く展開していきます。このような連携に積極的に参加していただければ幸いです。

 学位授与に際して、皆さんの今後とも変わらぬ真摯な研鑽と一層大きな発展を期待して、お祝いの言葉といたします。

平成28年3月21日

滋賀県立大学学長 大田啓一