平成29年 新年のご挨拶<教職員向け>(2017/01/04)

平成29年 新年のご挨拶 教職員向け

滋賀県立大学教職員の皆様

 明けましておめでとうございます。

 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 今、国公私立の設置形態を問わず、全国の大学が戦々恐々としているのは、2018年問題が目前に迫ってきたことです。2018年には18歳人口が118万人になります。高校卒業生はそのうちの88%で、103万人。卒業後の進学率が今と同じの60%とすると、大学・短大への進学者は62万人。これに浪人生5万人を加えると、67万人になります。

 現在、大学と短大の入学定員は各々61万人と6万人で、合計67万人。このままいくと2018年には入学定員と進学者の数が一致し、大学・短大は希望者全員を受け入れてちょうど一杯です。その後は18歳人口の減少とともに、大学はダウンサイジングするか閉鎖するしかありません。これが2018年問題です。

 実際には、現在すでに45%の私大が深刻な入学定員割れを起こしています。2018年問題はもう始まっているのです。大規模私大はこれから定員を大幅に増やしますので、生き残りをかけた大学間競争は一層激烈にならざるをえません。

 この競争では、社会や地域の変化、研究動向や産業界ニーズ、受験生や保護者の目線等への対応ができない大学が淘汰されます。国公私立の区別はありません。とはいうものの、国立大学はミッションの再定義を終え、第3期中期計画期間(2016~21年)に行う改革に着手しています。一方、公立大学は出遅れています。

 本学は、来年からの第3期中期計画期間を前に、USP2025ビジョンを共有し、これに基づいた中期計画の策定にかかろうとしています。各学部でも将来構想・計画の策定を進めており、工学部では「地域ひと、モノ、未来情報研究センター」の設立を、人間看護学部では大学院を軸に看護教育の高度化を、それぞれ図ろうとしています。他の学部でも同様な取組みの検討を急ぎましょう。

 さて大学改革を進めるうえで忘れてならないのが、コンプライアンス意識の一層の向上です。コンプライアンスは法令遵守のみならず、倫理や人権への深い理解も含んでいます。特に人権への配慮は、みんなが気持ちよく学び、働くうえで極めて重要です。

 このコンプライアンスを、2千年以上も前の人である孟子(紀元前372?~289年)も重視していました。

 下記の孟子の言葉でコンプライアンスの大切さを確認して、新年のご挨拶といたします。

 皆様のご活躍をお祈りするとともに、大学改革へのご協力をお願いいたします。

孟子曰、君子有三楽。

  父母倶存、兄弟無故、一楽也。

  仰不愧於天、俯不怍於人、二楽也。

  得天下英才教育之、三楽也。

(孟子曰く、君子に三楽有り。父母倶(とも)に存し、兄弟故(こと)無きは、一の楽しみなり。仰いで天に愧(は)じず、俯して人に怍(は)じざるは、二の楽しみなり。天下の英才を得てこれを教育するは、三の楽しみなり。)

2017年元旦

滋賀県立大学学長  大田啓一