平成28年 新年のご挨拶<教職員向け>(2016/01/04)

平成28年 新年のご挨拶 教職員向け

 滋賀県立大学教職員の皆様、明けましておめでとうございます。

 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 ご承知のように、国立86大学は「ミッションの再定義」により、世界水準型(16大学)、特定分野型(15)、地域貢献型(55)の3類型に分けられました。地域貢献をミッションとしてきた公立大学にとっては新しいお仲間が増えたわけで、このなかでいかに独自性を打ち出していくか、その戦略が問われることになります。

 この新しいお仲間の地域貢献の仕方は、それを任務とする学部やセンターを創設し、そこを拠点にして地域とつながるものが多く、宇都宮大学の地域デザイン科学部、福井大学の国際地域学部、愛媛大学の社会共創学部、高知大学の地域協働学部、佐賀大学の芸術地域学部、宮崎大学の地域資源創成学部、山口大学の地域未来創生センターなどがそうです。このやり方は江戸幕府の「出島」を窓口とした海外とのつながり方に似ています。

 一方、本学は全ての学部が、教育、研究、社会連携の全ての機能を動員して地域とつながっています。国立大学の「出島型地域貢献」に対して、こちらは「全面的地域貢献」であり、大学丸ごと地域貢献です。

 その全面的地域貢献型大学には、今、地方創生の推進役が期待されています。本学がこれに応えるには教育機能を一層強化していかねばなりません。何故なら、地方創生には「人」、それも国際通用性のある知識と見識があって他者と組める人が要るからです。

 本学は国際通用性のある教育を目指しており、三つのポリシー、カリキュラムツリー、ルーブリック、GPA、アクティブラーニングなどはクリアしました。近いうちにコースナンバリングと予習に役立つシラバスと在外経験者3割超を実現しましょう。これに地域志向教育と地域活動による学生の自己鍛錬が加われば、地方創生に十分貢献できる若者は育ちます。

 しかし将来とも全面的に地方創生に貢献しようとするならば、本学の教育機能を若者教育だけに限定しておれなくなります。以下に述べる理由により、30代後半から40代(職場の中堅)、さらに50代後半から60代(シニア)の幅広い世代の教育にも責任を持たねばなりません。本学も高度な「ミッションの再定義」が必要だと考えています。

 中堅世代の教育を必要とする第1の理由は、本学卒業生の学び直しのためです。本学出身者が職場の中堅になる頃に、管理能力や経営センスを身につけるための教育です。

 第2に、今後起こりうる職業環境の変化への対応です。20年後には50の職業が人工知能とロボットによって代替される可能性があるならば、その上をいく知識やスキルを身に付ける必要があります。どうしても学び直しが必要になります。

 第3に、地球環境の激変への対応で、これには世界中の英知の結集が必要です。理論、技術、生産、社会生活等の革新が必要で、中堅世代にその期待がかかっています。

 シニア世代には期待されている役割が多くあります。小・中・高校の理科と社会科の支援、地域教育、福祉、介護、看護、地域防災と安全指導、地域行政の推進などです。これを今までは経験知でやってきました。しかしそれではレベルの向上と広域的な共通性が確保できません。カリキュラムが確かな体系的な学び直しが必要になります。

 本学が「ミッションの再定義」を行い、若者教育、中堅教育、シニア教育を実施するにはそれなりの体制を整えねばなりません。しかし本学が将来にわたって輝きと存在感を示すために、今から準備していきましょう。

 皆様のご協力、ご活躍を期待しております。

2016年元旦

滋賀県立大学学長  大田啓一